「老いの冒険―人生でもっとも自由な時間の過ごし方」(興陽館)という本を稲城図書館から借りて読んだ。2015年2月に初版が刊行されている。4年前に出た本である。「はじめに」にを読んでみると私の好きな曽野綾子節が書いてある。引用するとこうだ。
『しかし現代の高齢者がなおざりにしていることは、「適当な時に」人間は現生を去る、という賢さと義務を自覚することなのだ。ところが、最近の年寄りは、いい医療さえ受ければ、自分はしななくて済むように考えているように見える。昔はこんなおろかな年寄りはいなかった。昔の年寄りは、もっと働きものであった。・・・・』
曽野綾子さんの主張は明快で納得が行くので何冊も読んできた。この本もタイトルに惹かれて先日のバリ旅行の飛行機の中で読んだ。ところがこの本は曽野さんが自分の手で新たに書いたのではなくて、曽野さんがこれまで書いてきた本から美味しそうな文章をピックアップして一冊にまとめ直したものだった。確かにいいことがいっぱい書いてある。「アフォリズム」の宝庫なのだ。「こういう本」もありなのかなあ? と疑問に思う。恐らく出版社の編集者が「売らんかな」の企画を持ちかけて、曽野さんは迂闊にも承諾してしまったのではないだろうか?
「昔の年寄りは、もっと働きものだった」と書いておられるが、昔のもの書きはこういう作りの本は出さなかったと思う。