TomyDaddyのブログ

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私の「医人」たちの肖像―(51)野田 亮さんと「癌遺伝子研究」~1986年3月31日(月)

(51)野田 亮さんと癌遺伝子研究~1986年3月31日(月)

 

   1986年3月31日に、野田 亮先生(当時は理化学研究所)に、「進む日仏の科学研究協力」(医学界新聞・第1714号)掲載」の校正を送った。仏パスツール研究所理化学研究所との研究協力について紹介いただいた。バックナンバーが手元にないので詳細には触れられない。野田さんには、1986年の新年第1号「生命の言語―DNAを見る」(カラーグラフ)取材の際に、井川洋二先生の紹介で初めてお目にかかった。
■進む癌遺伝子研究■
●1986年3月31日(月):

 野田さんは、分子生物学から迫る癌遺伝子の研究者だ。上記のカラーグラフに挿入した癌細胞の写真を提供して貰った。まだ30歳台の若手研究者であった。「がん抑制遺伝子の研究」で、高松宮妃癌研究基金の学術賞を、1992年に受賞された。この時から数年後に、理化学研究所から京都大学に移られ、1994年に分子腫瘍学の教授になられた。この機会にインターネットで調べた。2018年3月、京都大学医学部・分子腫瘍学教室の教授を退官し、現在は京都大学の副学長のようだ。1953年生まれだから、私よりも5歳若くまだ67歳くらいだ。
■がん抑制遺伝子の発見―ワインバーグ
 
癌遺伝子に関して、1986年の秋に画期的な研究が発表された。
 がんを抑える遺伝子を分離―網膜芽細胞腫で成功―発病防止に大きな期待―米国のワインバーグ博士ら発表」という記事(1986年10月22日、朝日新聞)が、目に飛び込んできた。米国のマサチューセッツ工科大学のロバート・ワインバーグ教授らのグループは子どもの目のがん(網膜芽細胞腫)の原因遺伝子を分離したと英国の科学雑誌 Nature (Vol.323 16, October, 1986)に発表したのだった。
 N.エインジャーが書いた、『がん遺伝子に挑む(上・下)』(東京科学同人刊、1991年)を読んだ。今も私の書棚にある。この本の日本語への翻訳者は、野田洋子・野田 亮となっている。野田さんのこの時の所属は、癌研究会癌研究所ウイルス腫瘍部長だった。著者のエインジャーは女性の科学ジャーナリストである。この本は、当時、癌遺伝子研究の最先端を走っていたワインバーグ(Weinberg)の研究現場で繰り広げられる人間模様も含めて、研究の進展を描いたものだ。いまでは古い話だろうが、がん抑制遺伝子研究の先駆けとなった研究の現場だ。
(2019.3.14)

(私の「医人」たちの肖像―〔51〕野田 亮さんと癌遺伝子研究~1986年3月31日)