TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

私の「医人」たちの肖像― (10) 私の「医人」たちの肖像― 杉村 隆さんと「第3回国際環境変異原会議」 ~1981年9月21日(月)

(10) 杉村 隆さんと「第3回国際環境変異原会議」~1981年9月21日(月)

 

   第3回国際環境変異原会議が、1981年9月21~27日(月)、東京・品川のホテルパシフィック及び三島の日大校舎、京都の京都会館の三箇所で開かれた。先輩記者のSH君と一緒に、この会議を取材した。

■第3回国際環境変異原会議―1981■
●1981年9月21日(月):

   会議の名称「国際環境変異原会議」は、英語では“International Conference on Environmental Mutagens”である。こちらのほうが寧ろ判りやすい。要するに人間の生きている環境の中には健康に害を及ぼすさまざまな物質が存在し、それを研究する学問分野の国際学会である。初日、開会式のあと杉村 隆博士が、「癌研究者のみた環境変異原(A View of a Cancer Researcher on Environmental Mutagens)のテーマで、会頭講演を行った。
「われわれを取り巻く環境変異原物質は人間に対し二つの作用を起こす。一つは生殖細胞に変異を起こし遺伝的な疾患の原因となり、もう一つは体細胞に変異を引き起こし、癌の原因あるいは老化にかかわってくる。変異原物質といっても、化学物質、工業生産物、自然に発生する物質など様々である、等々。」

■初めての国際会議で記者会見に参加■

   国際学会では会期中の昼休みや夕方の時間帯に、会の事務局の広報担当が、新聞記者のために記者会見を準備していた。その場では会議のテーマと主要な発表要旨について解説してくれた。そこには、朝日、読売、毎日、共同通信NHK、等の記者たちが詰め掛けていた。医学界新聞はマイナーな業界紙であるが、大手の新聞記者たちと同列で参加できたことは誇らしく感じた。

京都サテライト会議は、遺伝学的研究に重点をおいた三島会議とは対照的に医薬関連企業などの多い関西の地域性を生かして、応用面や実生活に関連した内容を中心としたテーマが多かった。
 最終日の9月27日に、発癌物質の短期間テスト(エームス・テスト)の創始者として著名なエームス(Bruce N. Ames)博士が、活性酸素による過酸化脂質やアルデヒドなどが発癌、突然変異、老化の重要な要因となり得ることを説き、注目された。

   「必要な発癌性定量的評価―環境変異原のスクリーニング―京都サテライト会議より」という小さな記事を、記者会見から得た情報を整理して、私は執筆した。Amesさんと「エームス・テスト」については別項で紹介する。

実験胃癌の研究で知られていた、学会長の杉村博士は、蛋白質の過熱分解でできる変異原物質の生化学領域においても多くの研究成果をあげていた。それらの知見から、『がんにかからないための12か条』(中公新書)という一般向け啓蒙書を、その頃に書いていたので読んだ。

■がんを防ぐための新12か条■

    今回、調べてみると、「がんを防ぐための新12か条」が、がん研究振興財団のホームページに載っていた。「あなたのライフスタイルをチェック、そして今日からチェンジ!!」の12か条とある。自戒も含めて以下に再掲したい。

1条:たばこは吸わない。

2条:他人のたばこの煙をできるだけ避ける。

3条:お酒はほどほどに。

4条:バランスのとれた食生活を。

5条:塩辛い食品は控えめに。

6条:野菜や果物は豊富に。

7条:適度に運動。

8条:適切な体重維持。

9条:ウイルスや細菌の感染予防と治療。

10条:定期的ながん検診を。

11条:身体の異常に気がついたら、すぐに受診を。

12条:正しいがん情報でがんを知ることから。

杉村 隆さんは1926年4月20日の生まれで、ご健在だ。

(2019.6.14)

   追記: 杉村 隆さんは、2020年9月6日に96歳で逝去された。

(私の「医人」たちの肖像―〔10〕杉村 隆さんと「第3回国際環境変異原会議」~1981年9月21日)