TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

鷲巣繁男さんのこと!

 詩人の鷲巣繁男さんに一度だけあったことがある。昭和42年ころ私が21歳くらいの時だ。北大ロシア文学科の学生でガリ版刷りの詩らしきものを作っていた青二才の少年だった。ロシア語とロシア分文学の教師中村健之介先生が鷲巣さんの家に連れて行ってくださった。その頃の鷲巣さんは札幌の印刷所に勤めている職工さんだった。札幌市内の北部の多分借家に住んでおられた。6畳くらいの居間の壁面ののすべてが書棚になっていてびっしりと本が並んでいた。生身の詩人にあったのはこの時が初めてであった。その3年後、昭和46(1971)に卒業して医学系の出版社の社員になった僕は、残業代が溜まるとそれまで買うことができなかった本を買い漁った。好んで買い求めた思潮社刊「現代詩文庫」の読者アンケートハガキに次に出してほしい詩人として鷲巣繁男さんの名前を記入して投函した。その間もなく「現代詩文庫」51の鷲巣繁男詩集が刊行された。その年(1972年)に鷲巣さんは札幌から埼玉県与野市に移ってきた。上京後の鷲巣さんはそれまで書き溜めてあった原稿から次々と著書を刊行された。ただ私はこの難解で根源的な詩人の書を買い求めて積読ならなぬ立読して慶んだ。いま手元に「定本鷲巣繁男詩集 限定600部中273」(国文社刊1971年)がある。この本の略歴をみたら、鷲巣さんは1915年1月7日横浜市花崎町生まれと知った。誕生日が私と全く同じで32歳の年長だ。上京10年後の1982年7月27日に鷲巣さんが逝かれたことを新聞で知った。二度目の邂逅はかなわなかった。