TomyDaddyのブログ

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私の「医人」たちの肖像―(102)南 裕子さんと座談会「私もあなたも3Tナース」~1991年11月16日(土)

(102)南 裕子さんと座談会「私もあなたも3Tナース」~1991年11月16日(土)

 

 1991年9月7日(土)。東京・平河町にある笹川記念会館で開かれた日本看護協会シンポジウム「日本で在宅医療は可能か?」を取材した。
 看護領域での取材は初めてだった。シンポジウムの終了時に、シンポジウムに参加していた南 裕子先生(聖看護大学教授)に接触した。名刺をお渡しして「後日、連絡する」旨のアポイントを取り付けた。

■初めて看護版の座談会を企画■

医師も看護婦(当時はまだ看護師といっていなかった)さんたちも、普段は臨床で忙しく、学会・研究会は土日の開催が多かった。取材する側も土日返上で動いていた。9月29日(日)にも南 裕子先生にお会いした。企画相談の趣旨を、南さんは直ぐに理解してくれて、「あなたもわたしも3Tナース」という座談会を組み立てた。
 テーマに掲げた「3T」とは、大変(T)だけど、大切(T)で、頼り(T)にされる、の3つの「T」のことだ。

1991年11月16日(土)。新宿の野口記念会館へ、野口賞授賞式の取材に、午後から行った。そのあと、東京駅八重洲南口富士屋ホテルに移動した。午後18時~20時過ぎまで医学界新聞・看護版のための座談会「私もあなたも3Tナース」を収録した。

■座談会「あなたもわたしも3Tナース」■
●1991年11月16日(土):

入院体験をしてみると、担当看護婦さんの有難みを主治医以上に、誰もが実感できるのではないだろうか。ケアに携わるナース(看護婦)の働く環境は厳しいものであり、かつ看護婦不足が叫ばれていた。一方で、看護婦の養成については、専門学校から看護大学の増加、さらには修士課程で学んだ「専門看護婦制度創設」が緒についていた。看護婦の名称が男性看護士も包括した「看護師」と名称変更されたのはさらに10数年後の2002年のことだ。

以下、長くなるが司会をお願いした南さんの冒頭の発言を再録する。

■勉強するほど現場の面白さがわかる■

「南(司会):あなたもわたしも3 Tナースですが、世間では3 Kと呼ばれて、“きつい”、“汚い”、“暗い”と、悪いイメージの代名詞のように言われているけれども、現場で働いている看護婦の話を聞くと必ずしもそうではない。ナースという仕事は、大変(T)だけれど、大切(T)で、頼り(T)にされる仕事、ある意味では楽しい部分もある仕事なのだという、前向きなとらえ方もあります。日本看護協会も、日本看護系大学協議会も専門看護婦制度の検討に入ったけれど、専門看護婦(CNS:Clinical Nurse Specialist)というものの認識がまだない。そいう意味で皆さんは看護の修士課程を卒業してから臨床に戻られたと点で、非常にユニークな方たちです。」

この座談会には、何方も看護大学大学院(修士)を卒業して、更に海外での留学(研修)を経験した専門看護婦の以下4名の方に、南さんの推薦で参加いただいた。

お名前と当時の所属は以下のようだ。武田宜子(国立身体障者リハビリテーションセンター・婦長)、佐藤エキ子(聖路加国際病院婦長・ETナース)、若狭紅子(東京女子医大心臓血圧研究所・CNS教育担当主任)、古庄しおり(医療法法人社団碧水会長谷川病院・CNS)。

■専門看護婦をめざして■

座談会では前述したテーマに沿って、以下のような4本柱で広範に語っていただいた。
(1)私が修士課程に進んだ理由、
(2)ナースでなければあじわえないこと、
(3)ナースであり続けるための私の工夫、
(4)ナースとして私がみる“夢”は。

ETナースとは人工肛門ストーマ)を持った人たちのケアを専門とするナース(Enterostomal Therapist;ET)のことである。「排泄のケアは決して汚くない」「患者に喜んで貰うのが看護」「QOLの向上はまず看護婦自身から」「自分自身を大事にすることが看護の向上に繋がる」、等々。収録した座談会は、翌年(1992年1月27日付)の医学界新聞・第1979号「看護版(Vol.2 No.1)」に掲載した。
 標記の座談会開催から30年近く経過した現在、看護師養成の現場は専門学校から大学教育へと大きく変化しているようだ。1991年に創刊した「医学界新聞・看護版」は、医学界新聞・看護号へと発展している。先週届いた、2019年6月24日付、医学界新聞・第3327号(for Nurses)では、対談「Nudgeで業務改善―行動経済学の知見からデザインする」という興味深いが記事が載っていた。
(2019.7.17))

(私の「医人」たちの肖像―〔102〕南 裕子さんと座談会「私もあなたも3Tナース」~1991年