現在の認知症薬としては、1999年発売のアリセプト(エイザイ)が有名である。そのあと2011年までに、レミール、イクセロンパッチ(リバスタッチパッチ)、メマリーが承認されている。何れも神経伝達物質の分解を妨げて神経の動きを活発にさせることで症状の改善を狙うもので根治薬ではない。2009年頃に認知症を発症した私の義母Hさんは、初期の頃にアリセプト、途中からリバスタッチパッチの貼り薬も併用していた。症状改善に繋がったかいなかは不明であった。
■相次ぐ開発中止■
認知症の患者は世界に薬5000万人、日本国内に約500万人いるとされる。(同上の新聞の記載による)認知症の7割を占めるアルツハイマー病は、脳の中に「アミロイドβ(Aβ)」というたんぱく質、また「タウ」というたんぱくが蓄積し、神経細胞が徐々に壊れること等が原因と考えられている。米国の製薬工業協会(PhRMA)の報告書によると、2017年までの20年間で146の薬剤候補が開発中止になった。このうちで根治をめざすものは約4割で50件を超す。国内では、この7月にノバルティスなどが第3相試験まで進んでいたアルツハイマー病治療薬候補「CNP5200」の治験中止を発表した。3月にはエイザイが、治療薬候補「アデュカヌバム」の治験を中止したばかりだ。