TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『戦争と平和』(トルストイ)「第三巻第二部」を読み終えた ~アンドレイが死に瀕している~この本を読めと神が言う

 『戦争と平和』(トルストイ)「第三巻第二部」を読み終えた。アンドレイが死に瀕している。この本を読めと神が言う。『戦争と平和』を読みながらいると、心の平静が得られるような気がしてきた。禁酒を始めてから二カ月と6日が経過した。この間、ひたすらに読んできた。よかった。飲んでいないので素面で生きているので乗り越えられたのかもしれない。

 少し長く引用しておきたい。アンドレイが重傷を負ったのだ。これで亡くなるだろう。

 <「服を脱がせろ! 何を突っ立ってか?」と彼は腹立たしげに衛生兵たちをどなりつけた。
 衛生兵が袖をまくりあげた両手をせわしなく動かして、ボタンをはずし、服をぬがせたとき、アンドレイ公爵の頭には遠い幼子のころの思い出がよみがえってきた。軍医は傷口をのぞきこむようにして調べ、手で触ってみて、重い溜息をついた。それから彼はだれかに目で合図をした。そのとき、腹の内部のはげしい疼痛がアンドレイ公爵を失神させた。彼が意識をとりもどしたとき、大腿部の砕けた骨は摘出され、肉の小片がえぐりとられて、傷口には包帯が巻かれていた。顔に水がふりかけられた。アンドレイ公爵が目を開けると、軍医はその顔の上にかがみこみ、黙って唇に接吻をすると、急いではなれていった。>

 このあと、アンドレイはナターシャをかどわかしたアナトーリを目にする。小説にしては(小説だからか)話のすじが上手すぎる。

 <いま片脚を切断されたばかりの、泣きわめいている、弱りはてたあわれな男に、彼はアナトーリ・クラーギンを見たのである。アナトーリは両手を押さえられ、コップで水を飲まされようとしていたが、腫れあがった唇がひくひくふるえて、コップのへりをくわえることができなかった。アナトーリは苦しそうにもだえて泣いた。『そうだ、kの男だ。そうか、この男はなにかによって緊密に、不快に、おれと結びつけられているんだな』と目の前のことがまだはっきりとわからずに、アンドレイ公爵はこんなことを考えていた。・・・・・・・・・・・・『あわれみ、兄弟たちや愛する者たちに対する愛、われわれを憎むものに対する愛、敵に対する愛ーーそうだ、これは地上に神が説いた愛だ。妹のマリヤに教えられたが、理解できなかった愛だ。これがわからなかったから、おれは生命が惜しかったのだ。これこそ、おれが生きていられたら、まだおれの中に残されていたはずなのだが、いまもうおそい。おれにはそれがわかっている!

 上で引用したのが、アンドレイが亡くなる場面なのだろうか?これほどの重症なのだから助かることはないだろう。
 『戦争と平和』を第三巻まで読んできた。工藤精一郎さんの翻訳で読んでいるのだが、北御門二郎さんの翻訳もみてみたい。それと、もしかしたらロシア語の原書も本棚の下にあるかもしれない。この本を読めと神が言う。