昨年、「銀河鉄道の父(だったろうか)」という映画をみた。主人公の宮澤賢治の父親を役所広司が演じていた。肝心の賢治の役は誰だったか忘れてしまった。賢治は生前は無名のままの詩人であったと知った。生前に出版した詩集もほとんど自費出版だった。父親が偉かったのだ。有名な「雨にもマケズ」は賢治の死後に残された手帳にメモ書きしてあったもののようだ。
以下に全文を引用しておきたい。
〔雨ニモマケズ〕
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ[#「朿ヲ」はママ]負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
<コメント>
この賢治のいまでは代表作となった「雨ニモマケズ」は賢治の願望だったんだと思う。実際には病弱で丈夫な体を持たず、どうしようもない名誉欲もあり、宗教(日蓮宗か?)にも恋焦がれ自らを御しがたいような気持ちで死んでいったのではないかと思う。