「第九章 内村鑑三『代表的日本人』をよむ」(『北の星たち 新渡戸稲造、内村鑑三、有島武郎』芦原伸)を読み継いだ。
<『代表的日本人』は古来日本人のもつ美しい心情、逞しい大和魂を説き、仏教、儒教を基盤とした日本人の道徳を解きほぐし、キリスト教精神が日本の土壌に根を下ろし、成熟することを確信して書かれた。内村の志すJ&J(Jesus & Japan)の論証であった。それまでの輪郭のぼやけたのっぺらぼうのような日本人像がこの書により顔立ち、要望のはっきりした「個」であることを証明したのだ。内村は西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の日本人五人を取り上げ、その歴史的役割、人となり、信念を解説した。>
内村が英文で表した『代表的日本人』(内村鑑三著、鈴木範久訳、岩波文庫)を読んでみたい。内村のこの本は、”Japan and the Japanese"というタイトルで、英文で、徳富蘇峰の主宰する民友社から、明治27年(1894年)出されたんだという。その後、改稿して ”Representative Men of Japan"と変えて出版された。
この機会に、ネットで調べてみた。面白いことに、例のラジオ番組「100分de名著」で伊集院光さんが、「代表的日本人」を取り上げている。なんと、今年、2024年3月6日(水)の午後2時から放送されている。(2016年に放送されたものの再放送である)ゲスト講師として、若松英輔さんが出ている。若松さんは、「内村鑑三を読む」「生きる哲学」「井筒俊彦―英智の哲学」等の著作があるひとだ。(この放送はアーカイブで聴くことができるらしい。調べてみたい)
ここまできて、北大を出たのに、内村鑑三のことを全く知らなにのだと分った。むしろ、内村祐之さんの「われいかにして精神医学を志したか」の中で、内村祐之さんが北大医学部教授(精神医学)になったときに、内村鑑三が「こころの医師(自分自身のこと)」に次いで、「身体の医師」に息子がなるのを喜んだと書いてあったのを興味深く読んだことがある。内村鑑三は高崎武士の息子として生まれた。鑑三には「上州人」という漢詩がある。また、内村鑑三と接点のある新島襄も上州安中藩の生まれである。二人とも、「上毛かるた」でこうある。「こころの燈台内村鑑三」「平和の使い新島襄」である。この縁を少し感ずる。