TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

今年(2024年)のノーベル物理学賞-日本人の研究「先駆けでは?」 ~興味深い記事から

今年(2024年)のノーベル賞は物理学賞も、化学賞もAI関連だった。本日(2024年12月13日)の朝日新聞朝刊の記事「AIとノーベル賞(下)」では、日本人の研究「先駆けでは?」の大見出しと「受賞2氏の源流に甘利氏 実用化が分かれ目」の副見出しがついて大きく取り上げられていた。今から30年くらい前に、私が医学界新聞の記者だった時代に、甘利俊一さんはバリバリの現役研究者であった。興味深いので、引用しながら読んでおきたい。この記事は、科学部の瀬川茂子さんと竹野内崇宏さんお二人の署名入りの記事だ。

 出だしにこう書いてある。
「今日、人工ニューラルネットワーク(NN)は、日常生活だけでなく、研究の世界でも強力なツールとなった」

<12月10日にスウエーデンでのストックホルムで開かれたノーベル物理学賞の授賞式。AI(人口知能)研究の根幹といえる「機械学習」分野の業績で受賞した、米プリンストン大のジョン・ホップフィールド名誉教授(91)とカナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン名誉教授(77)に賛辞が贈られた。一方で、この受賞をめぐっては10月8日の発表直後から「日本人研究者が見過ごされたのでは」という指摘が相次いだ。>

 甘利俊一・東京大学名誉教授(88)の研究成果が正しく評価されていない、との主張である。受賞した2氏の成果の源流をたどれば、人間の脳神経の仕組みをヒントにしたNN研究の先駆者だった甘利さんの貢献が浮かぶんだという。
 (そういえば、甘利俊一さんの研究は神経関係の学会で知ったのだったろうか。)

 <ホップフィールド氏は1982年、画像などのパターンを記憶して思い出す仕組みを人工的NNで再現した「連想記憶モデル」を提案。多くの物理学者がAI研究に参入するきっかけとなった。ところが、同様のモデルの研究を、甘利さんは1972年の論文で既に発表していたのだ。>

機械学習を実用化に近づけることに貢献したヒントン氏らの「誤差逆伝播法」と呼ばれる1986年の成果も、源流となるようなアイディアを約20年前の1967年に発表している。>

<これらの研究をノーベル賞委員会が見落としたわけではない(んだという)。物理学賞の発表資料には、画像認識に使われているNNの原型を開発した福島邦彦・電気通信大特別栄誉教授とともに、甘利さんの名前と成果が記されている。>

 <そうした歴史もふまえて、委員会が選んだのは、1980年代に訪れた「第2次AIブーム」の研究だった。受賞した2氏は、電子のスピン(自転)や統計力学など、物理学の視点をNNに持ち込んだ点が評価された。>

<ヒントン氏らが機械学習の研究に入ってきたころ、日本はこの分野の「先進国」だったという。甘利さんは「ヒントン氏が偉いのは、AIが実用的になるんだと考え、80年代から努力を続けてきたところ。日本はバブル崩壊もあり、実用化を見据えた研究が続けられなかった」と語る。
 2012年、ヒントン氏はNNを発展させた深層学習を使い、画像認識の性能を飛躍的に向上させた論文を発表。AI実用化の先駆けとなった。>

<ChatGPT(チャットGTP)などの生成AIの開発につながった深層学習の発展技術「トランスフォーマー」(2017年)には、ホップフィールド氏の成果が生かされている。近年、その業績が再評価されていたという。>

 <黎明期からAI研究をぞ続けてきた甘利さんも、チャットGPTを使い、文章の生成能力に驚ている。「AIはどうしてこんなにうまく動くのか開発者自身もわかっていないことが多い。AIが今の社会、文明を変えうると考えて、全く新しい人類社会の構想を考えていかなくちゃいけない」

<私のコメント>
 甘利さんは(ご自身が選ばれなかったことに対して、「誰が取るかではなく、AI分野にノーベル賞がきてよかった」とほほえんだんだって。