TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

小島信夫『私の作家遍歴』Ⅱ 最後の講義読んでいる

 小島信夫『私の作家遍歴』Ⅱ 最後の講義の文体はやはり、饒舌であると思う。この本は、小島さんの文字通り、「作家遍歴」というよりも、「読書遍歴」 なんだと読みながら感じた。
 「私のイワンが東洋の海を」「皇帝の使者」「盲一人の使者」「対面」、これらは、ロシアのプチャーチン提督の秘書官として日本にやってきたゴンチャロフのことが書いてある。ゴンチャロフは、『オブローモフ』という小説を途中まで書いてところで、日本にやって来た。このあたりのことを、『日本渡航記』に書いたのだ。小島さんは、ごゴンチャロフ渡航記を読み解きながら書いている。
 プチャーチン提督の秘書官として、ゴンチャロフが長崎にやってきた時に、江戸からそれに対応するために長崎にやって来たのが、主席の筒井肥前の守、そして副主席が川路聖璋(としあきら、言弁)であった。川路は、「長崎日記」という記録を残している。小島さんは、ゴンチャロフの「日本渡航記」と川路の「長崎日記」を読み解いて、ロ日交渉の昔のことを書いている。この折に、択捉が日本の固有の領土である旨を、またサガレン(カラフト)のことも出てきている。ロシアは前から領土を接する隣さんなのであった。