TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

 太平洋戦争とPTSD症候群 ~終戦記念日に父を思う

 本日は2023年8月15日である。太平洋戦争から78年目である。つい先日、8月12日は御巣鷹山日航機が墜落してから38年目であった。思えばどちらもつい最近のことのように思える。1947年生まれの私にとてっては76年目の夏である。

 先月以来、城田さんの書いた「ハザール―幻の騎馬民族」を読み継いでいる。500年~1000年くらい前、日本の時代でいうと飛鳥時代奈良時代から鎌倉時代くらいのことである。ハザールはその頃、カスピ海の北・西地域にあったユダヤ教の民族国家である。読んでみるとビザンツキリスト教)、アラブ(イスラム教)とハザール(ユダヤ教)の三つの民族国家の戦争の物語である。血で血を洗う争いの歴史でありハザールはロシア(キエフ)に滅ぼされ消えてしまった民族である。詳細も実は分かっていないのだが研究は世界で進めらている。城田さんはロシア語教師(文法学者)のかたわらでハザールに惹かれ30数年にわたって文献を渉猟して読み継いできたのだ。文献はロシア語、英語、中国語他、多岐にわたる。この本の歴史の流れを見るとソビエト連邦の成立とその崩壊も一過性の者のように思える。日本の太平洋戦争への突入と310人万人もの戦没者のことも最近のことなのに歴史の彼方のようにも思える。

 さて、本日(8月15日)は太平洋戦争に従軍した兵士のPTSD(心的外傷後ストレス障害)のことに触れたい。まず私自身のことを語りたい。1947年(昭和22)1月7日、戦後生まれである。兄弟は四人いる。長女(昭和14年)、長男(昭和16年)、次姉(昭和19年)なので、私以外は、皆、第二次世界大戦時中の生まれである。父は従軍して上海に行って来たと聞いた。調べると上海事変は1937年(昭和12年)8月13日から始まっている。盧溝橋事件後に上海で日本が起した軍事行動以降に始まった中華民国と日本の戦争である。宣戦布告をしていないので「上海事変」と事変という呼び方をしている。恐らく(直接に聞いたのではないが)私の父は上海事変の折に徴兵されて上海に出兵していると思われる。2年位の従軍で帰郷して農家の長男であったので以降は銃後の護りについて群馬の田舎で農業に従事していた。その結果として私たち4人の子どもたちが生まれることになった。私が五歳の頃、1952年(昭和27年)に父が家を建てて引越しをした。そのころ、秋口の大掃除で納戸の整理をしていた時に見かけない写真が沢山できた。「これって何処?」と尋ねると「上海だよ」と聞いたことがある。両足にゲートルを巻いた兵隊さんの格好をした父の写真もあったような気がする。父は身長は1メートル60センチくらいだが体重は65キロくらい、がっちりとした体格をしていた。若い頃には米俵二表を担いだと聞いた。父から戦争の話を聞いたことはない。ただ一人の戦友が(土肥さんとか言っていた)いて会いたいといっていたような気がする。父は四人の子どもを持ったのだが子どもに愛情を注ぐということはなかった。実際はできなかったのだ思う。日常の生活でもなにかすると父に怒られるという恐れの記憶しかない。高等小学校の学歴ではあったが、父は筆で文章を書くこともできた。小さな家(別棟の物置、トイレ)も建てるような大工仕事もできる器用な人であった。ただ素直に自分の子どもを肯定的に評価したり褒めたり励ましたりすることはしなかったし、できなかった。私が成人する前に気がついたのは「私の父は戦争で人を殺してきたので自分の子ども可愛がる、愛することを、自らに禁じていたのではないか」ということであった。このような生まれた家族の家から、成長した私は逃げ出してきたのだった。
 今日の新聞記事の見出し「抜け殻だった父 心の傷いま知った 戦場体験 子ども・孫も苦しむ」を読んで、私の父も「PTSD」で苦しんでいたのかもしれないと知った。

 本日の気になる本を書き加える。

(1)『七三一部隊―「細菌戦への道程 1931ー1940』(川村一之、3960円、不二出版)

 日本軍による「満州」での七三一部隊配置および防疫研究施設設置過程、さらに細菌兵器の研究・製造過程、細菌戦準備過程を一次資料ほか証言、日記、文学作品など多様な資料から緻密にたどる。ということだ。こんな本が出たんだ。

(2)『戦争と平和 ある観察(増補新訂版)』(中井久夫人文書院、2530円)
精神科医である著者が、戦争を二度と起こさないために自身の戦争体験を語る。加藤陽子島田誠、新たに同い年の海老坂隆との対談収録。」

(3)『ぼくらの戦争なんだぜ』(高橋源一郎、ASA,1320円)
「教科書を読む。戦争小説を読む。戦争詩を読む。人びとを戦争に駆り立てることばの正体が見えてくる。」
 高橋さんの本なんだから、読もう。