十五になった。
去年の暮れに試験に大淘汰があって、どの級からも退学になったものがあった。そしてこの犠牲の候補者は過半数が軟派から出た。埴生なんぞのようなちびさえ一しょに退治られたのである。
この本は、たんたんとした記述で書いてある。少年鷗外の伝記的な作品である。読んでいて清々しくてこんな少年時代を過ごしてきたのだとおどろく。良家のお坊ちゃんそのものなのである。「親ガチャ」なんていう生やさしいものである。この主人公(つまり鷗外なんだが)を鑑みると何も言えなくなる。十五の私ときたら何も世間も学びも友人も何もかもなかったし知らなかった。
今日の気なる本を書いておく。
(1)『じょぱりの人 羽仁もと子とその時代』(森 まゆみ著、婦人の友社、3300円)
「かってこんな女性がいた 全日本人のロールモデル」
いまに続く女性誌を創刊。学校をつくりライトに設計を。著作集の絵は平福百穂斬新な家計簿を全国に広めた(帯より)と広告にあった。
羽仁さんは、相馬黒光と同時代の人だと思う。明治には大人の女性がいた。