TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『官能小説家』(高橋源一郎)を読み始めたぞ

 先に読んだ高橋さんの『私生活』の最後で、お父さんが残したノートに残された女性の名前リストを『官能小説家』に利用したと書いていた。興味をもったので、稲城図書館でリクエストして早速にかりてきた。同じ作家の本を連続して読むのは、なんというか同じリズムの本を読みたくなるのである。タイトルの『官能小説家』といえば川上宗薫とかいわゆるエロ小説の解説本かと思うと高橋さんの本はそうではない。チョット読んでみると、この本も『日本文学盛衰史』の続編という感じである。
 「プロローグ」の次の「噂の真相」の書き方がまさに「日本文学盛衰史」と同じ書き方なのである。

<池辺三山の指揮下、朝日新聞に「文芸」欄が創設されたのは、つい先月のことだった。主宰の漱石は、弟子の森田草平に編集をまかせ、小宮豊隆に協力させていたのである。
 「先生! ご覧に なりましたか」
 目敏く漱石をみつけた森田草平が小さな雑誌を手にして近づいてた。
 「なにをだね」
 「これですよ。もう大変な話題で」
 漱石森田草平が手渡した『噂の真相』一月号の表紙を眺めた。そこには大きな活字でこう印刷されていた。
 「スクープ! 森鴎外樋口一葉の修羅場『同棲生活』」>

 そのあとには、「叶姉妹二千万円ヌード写真集の裏側」と書いてある。ポストモダン文学とやらは何でもありなのである。
 「父の残した日記の最後の数頁を林太郎は読んだ。」このあとに、森鴎外林太郎の父親が残した日記に記述されたいた関係した女性の名前のリストに、高橋さんは自分の父親のリストを利用しているのである。「それは父が生涯に関係した女のリストだった。そのうちの何人かの名前を林太郎は覚えていた。二十三人。その数字は多いのだろうか、それとも少ないのだろうか。平均的な日本人男性が妻以外に性交の相手とした人数としては」と続いている。このような筆致であるからかなり面白い。
 『官能小説家』は、朝日新聞夕刊に2000年9月4日~2,001年6月30日(12月21日~1月3日まで休載)の間、連載されたのだという。その頃、朝日新聞は購読していたが、全く読んでいなかった。2000年を挟んだ20年間は、医学関係の記事のほかは何の記事も余り私は読んでいなかったのだ。初出の新聞連載には『明治文学偽史』という副タイトルが」付いていた。読まなかったのは誠に残念。ということで、これから読むことにする。