朝日新聞に「新聞記者の文章術」という連載を編集委員の近藤康太郎さんが「アロハで猟師のサービス精神」というタイトルで書いていた。(2023年5月30日)近藤さんは60歳くらいの記者だ。カーボーイハットを被りサングラスをかけている顔写真が載っている。近藤さんは新聞記者であるから文章のプロなんだろうと思う。
<語彙、文体、テーマ、実験する心を忘れず、文章で「自分」を創る>
文章って書きこめば書けるようになるのだろうか?わからない。
先日、今年の3月の芥川賞受賞作「この世の喜びよ」を読んだときに文体が心地良いという感想を持った。この小説では、読点(。)が普通のところを、句点(、)を使っている。「語り部」は本人(作者)なんだろうが「語り部」を「あなた」と言って二人称仕立てにしているのが目についた。同じ号の「受賞者へのインタビュー」にこういう件があった。
ーこの作品は、主語が「あなた」と二人称で書かれています。選考委員からは「実験的な描き方ではなく、作品の求める世界に即している」と評価がありました。
井戸川 そう言っていただけてとても嬉しいです。以前から二人称小説には憧れがあって、いつか書いてみたいという気持ちはありました。
井戸川さんは、四百字くらいの「受賞の言葉」の文章を句点で繋ぎ、読点は最後だけである。実験的な文章の作りを模索している。
ともあれ『百冊で耕す<自由に、なる>ための読書術』を探して読んでみたい。