TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

台風10号が近づいている日に『サンショウウオの四十九日』(朝比奈秋)を読み終えた〜 おかしい記述がある

今日も暑い日であった。台風が近づいているので風が少し強い。
サンショウウオの四十九日』(朝比奈秋)を読み終えた。これで第171回芥川賞の受賞作品(同時受賞)を二作品とも読み終えた。選評を読まずに読んだのはは初めて。どちらも若い人(40代)の作品だ。
 『サンショウウオの四十九日』はそのテーマの特異性に比して書かれていることは平凡に感じた。主人公が「結合双生児」。そのような人が生まれて成人して社会生活を営んでいるのだ。事例があり得るのだろうか?さらに、この主人公(一体で二人)の父親が双生児の弟の胎内胎児としてして生まれて成人して父親になったという設定である。このような事例が実際にありえることなのだろうか?作者の朝比奈さんは医師であるので医学的なことを知悉している。それでこのようなテーマをを思い浮かべて作りだしたのであろう。読みだしてみると最初のうちは物語の流れが上手く把握できなかった。読んでいるとわかってきた。最後の場面は、主人公(一体二人)の父親の産みの親でもある弟さん、主人公の叔父さんのお葬式と納骨四十九日の場面が語られている。四十九日における自然描写は緻密に描かれており普通の小説の描写と同じである。

 納骨式(四十九日)の前日に主人公の一人は風邪をひいて扁桃腺が腫れて苦しんでいる。そして夢を見る。幼稚園の頃の体験の思い出が脳裏を駆け巡る。こういう記述がある。

 <畝の前に座り込んでスコップを土に突き立てた。シャクッと音を立てて、スコップは小気味よく畝に刺さる。土をすくうと切れたツルが混じっていた。スコップ一杯分掘られた畝にはツルが吸う本、つんと髭みたいに飛びでている。そのツルを片手で引っぱりながら周りの土をスコップで落としていくと、小さなジャガイモが土の中から次々とでてくる。>

 この描写を読んで嘘だと思った。ジャガイモは茎(地下茎に)に実がついてくるのでツルにはならない。サツマイモならそういうことがある。作者はジャガイモの実のなり方を知らないのだ。おかしな記述である。テーマが特異であるのだが描写は平凡である。どのようにこの作品が評価されたかのはわからない。これから選評を読んでみたい。