TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

映画「人生、ただいま修行中」を観た!

 ドキュメンタリー映画の名匠二コラ・フィリベール監督の「人生、ただいま修行中」を観てきた。フィリーベル監督は、いずれもドキュメンタリーの「ぼくの好きな先生」「パリ・ルーヴル美術館の秘密」の監督として知られる。といっても私はこれらの映画をみていないので大したことは言えない。68歳だというからまだ若い部類だ。数年前に肺塞栓症で緊急入院して、救急医療現場に接し看護に興味をもったのだという。良い視点だ。目のつけどころがやはり秀逸だ。
 今回の映画はフランスはパリ郊外の看護学校である。「誰かのために働くことを選んだ看護師の卵たち」が登場人物だ。看護師を目指している若者たちはフランス人だけでなく、アラブやインドの出身者や黒人系の若者も多い。年齢、性別、出身地も様々な看護師の卵たち40人を150日間に及ぶ実習とそこで成長する姿を追いかけた感動かつ奮闘のドキュメンタリーだ。
 二コラ監督は人間はいかにして成長することを学ぶのかというテーマに焦点を当て続けてきた。生徒(学生というべきか)は静脈確保も抜糸もギブスを外すことも全てが初体験だ。右も左も分からなかった彼らも、やがて実践の現場に移り、つまずき、挫折し、悩み、時には笑い、悩みながらも成長していく。その姿は私たちの誰もが社会にで行くときの経験と重なってくる。印象に残ったのは映画の最終場面でんの指導者との評価インタビューのやりとりだ。「患者さんとのコミニュケーションのとりかたが難しかった。」「婦人科研修で出産に立ち会いに母子関係に興味をもった」指導者に開陳する率直に迸る言葉の端に彼らの成長の兆しが確実に見えた。
 二コラ監督は、「他者のために働く」という道を選んだ若者たちを撮影したかったのです、と語る。日本語の「働く」という言葉自体が、「傍を楽にする」という意味だと聞いたことがある。「なぜ看護師になろうとしたのですか?」という問いに、「誰かの役にたちたいと思ったのです」という応えは清々しい。
 さて、この映画の日本での公開に先立ち10月に二コラ監督が来日していたことを知った。10月9日に東京・築地の聖路加国際大学において、二コラ・フィリベールさんによる特別授業が行われた。併せて、週刊医学界新聞第3348号(2019年11月25日)に、二コラ監督へのインタビュー記事が掲載されているのを読んだ。「病院ではなく看護学校を舞台に選んだのは、修業中の身である看護学生に関心を持ったからです。看護師になることの大変さ、身につけるべき事項の複雑さ、努力の道のりを観客に伝えるには、看護学生の成長を描く方がよいだろうという判断です。」
 地味だけれど、タイムリーで良い映画を観た。