TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

朝日「歌壇」から選ぶ一首は

 俳人有馬朗人さんが急逝された。つい先日、テレビのインタビューに出て、日本の科学研究の将来を憂いていた。その数日後に亡くなった。有馬さんといえば物理学者で東大総長で、晩年に文部大臣bにもなった方だ。
 「秋灯や絶学無憂なほ遠し」
 絶学無憂とは老師の反語的教えなのだという。知識は生命の本質的追及に反映すべきという意味だという。有馬さんは、自己研鑽を積み、教育でも知識の応用を志す。研究者として原子力が人類の幸福につながるのかを自問してきた。
(「朝日俳壇」で俳人で評論家の角谷昌子さんが、有馬氏の祈念」という追悼文を書いていたのから引いた)。

 さて、先日来、短歌に関する本を読み継いでいる。随分前から、若い頃から短歌には関心を抱いていたが今日まで、意識的に詠むことをしてこなかった。先日読んだ佐藤佐太郎さんが、「短歌は生きるための武器になる。文学は精神を強くする」という趣旨のことを書かれていた。それで、もう一度意識して作歌に挑戦したい。これまでも、毎日曜日の「朝日歌壇」読んできた。これからは、もっと意識して読む。朝日歌壇は、永田和宏、馬場あき子、佐々木幸綱、高野公彦といった四人の歌人が各々10首ずつ選歌したものを掲載している。これら、40首の中には同じ歌が選ばれることもある。

 安倍さんも「アベのマスク」をもうしないあれはいったいなんだったんだ(鹿沼市 田村和江)← 永田和宏
 田植えする農夫のように腰伸ばし次のオムツ替えに行く夜勤(横浜市 太田克宏) ←馬場あき子選
 美しい銀杏の落葉踏みながら朝のジョギングときどき滑る(東京都 伊藤澄子)←佐々木幸綱選
 卒論に追われる日々の相棒は紅茶パソコン古いひざ掛け(富山市 松田梨子←高野公彦選

 以上、四人の選者の10首の中から、私が気にいった一首を抜き出してみた。いまの短歌というものは、本当に日常を読んでいるので驚くほどだ。「田植えする農夫のように腰伸ばし・・」と詠んでいる、横浜市の太田さんは、何歳くらいのひとなのだろうか?最近の田植えはほとんどが機械がやっている。人が手ずから植えた田植えの腰が痛くなる重労働をしているのは60歳過ぎのひとだろうか。私の合気道の歳下の友人の一人は、定年を迎えて、この10月過ぎから介護現場に二次就職をした。彼も腰が痛くなるような仕事をしているのかもしれない。富山市の松田梨子さんの歌は、馬場あきこさんも選んでいる。「共選」なので最優秀作品のようだ。この歌の作者は22歳くらいの大学生だろう。素直に経験を詠んでいるだけである。「だけである」というところが作歌の難しいところなのかもしれない。鹿沼市の田村さんの、「アベのマスのスク・・」も誰もが気がつくが歌に詠む人はあまりいないだろう。

 もう一つ
 「農道を過(よぎ)る毛虫にひたすらと這う速度あり方向のあり(長野県 千葉俊彦)」
 という歌には驚いた。地面をはう毛虫をこのように見る人がいるんだ。この歌が本日は一番面白かった。

 「従兄弟らが なれぬパソコン くりだして ズーム会議に くれゆく師走」
 今から6年前の2014年に、従兄弟会と熱海の温泉ホテルで開催したことがある。6年たって齢を重ねみんな、70~84歳と高齢になった。コロナ禍なのでズームを利用して二度目の従兄弟会を開催した。それを歌にしてみた。