2024年ノーベル生理学・医学賞は、「マイクロRNA」の業績で、―米の2氏に決まったあ。遺伝子制御の仕組み解明というのが授賞理由だ。「マイクロRNA]については随分昔(20年くらい前)に聞いたことがある。興味深いので、本日(2024年10月8日)の朝日新聞朝刊記事をメモ書きしながら読んでみたい。
<スウェーデンカロリンスカ研究所は10月7日、今年のノーベル生理学・医学賞を米マサチューセッツ大のビクター・アンブロス氏と米ハーバード大のゲイリー・ラブカン氏に贈ると発表した。両氏は、それまで知られていなかったごく短い「マイクロRNA」という分子が遺伝子を制御する仕組みを解明した。>
授賞理由は「マイクロRNAの発見と転写後の遺伝子制御におけるその役割」。マイクロRNAが正常に働かないと、先天性の難聴や骨格障害、がんなどに関係することがあきらかになっている。生き物の遺伝情報は細胞の核にあるDNAに書き込まれている。必要な情報がメッセンジャーRNA(mRNA)に写しとられ、それをもとにたんぱく質がつくられる。人体には何十兆個もの細胞があり、どの細胞もDNAの遺伝情報は基本的に同じだ。だが、DNAから写しとられる部分が細胞ごとに異なるので、筋肉や神経といった組織や臓器の違いが生じている。この仕組みは1960年代に盛んに研究され、遺伝子制御の主な原理は解明されたと長く考えられてきた。
だが、アンブロス氏とラブカン氏は、たんぱく質がつくられる過程を制御する新たな仕組みにを発見し、科学界に驚きを与えた。
両氏は、体長1ミリほどの線虫をつかった実験で、成長過程で異常を示す個体に着目し、mRNAとは異なる非常に短いマイクロRNAがあることを突き止めた。マイクロRNAが特定のmRNAにくっつくと、たんぱく質がつくられなくなることがわかり、1993年に論文で発表した。ヒトでは千種類を超えるマイクロRNAがみつかり、病気との関係でも注目されている。(野口憲太、土肥修一の二人の署名記事より)
<コメント>
やはり、この仕事は1993年、今から30年前の仕事なんだ。ようやく、ノーベル賞に輝いたことになる。日本では、この分野では何方が仕事をしているのだろうか? 記憶の片隅にあったので、「生体の科学 マイクロRNA」で検索した。果せるかな、雑誌「生体の科学」66巻5号(2015/10/15)で、特集している。増大特集「細胞シグナル操作法」というものだ。この中で、大阪大学大学院神経遺伝学の余越 萌、川原行郎の二人が、「遺伝子・ゲノム・マイクロRNA」という論文を書いている。さらに、「生体の科学」69巻4号(2018年)では、「マイクロRNAを利用した創薬ー高機能性RNA分子の創製」という論文を北出幸夫(愛知工業大学工学部応用科化)が書いている。日本でも、マイクロRNAの研究は進んでいるように思える。今回の、ノーベル賞の解説を何方が執筆するのか注目しておく。
ところで、雑誌「生体の科学」は順調に発行ができてるのだろうか?気になる。
最後に、今日の気になる本を書いておく。
(1)『夢を叶えるために脳はあるー「私という現象」、高校生と能を語り尽くす』( 池谷裕二、講談社、24220円)
この本は、第23回小林秀雄賞の受賞さくなんだ。池谷さんはお元気のようだね。