(14) Exton-Smithと講演「老化と栄養」~1981年10月15日(木)
1981年10月15日(木)~17日(土)。東京・平河町の都市センターホールと全共連ビルにおいて開催された第23回日本老年医学会を取材した。
■必至の高齢化社会と老年医学■
●1981年10月15日(木):
「第23回日本老年医学会学会」の会長は、勝沼英宇教授(東京医大)であり、この会議は日本老年社会科学会との共催であった。今後は高齢化社会に向かうのは必至で、老年医学は重要なテーマになってくるだろう、と素人ながら予感がした。志願して取材した。そこでわかったことは、両学会の上に日本老年学会があり、その第12回日本老年学会が両者を合同する形で大島研三会長(日本大学名誉教授・内科)のもとで開かれていた。老年学は英語でgerontology、 老年医学は英語でgeriatricsということも知った。駆け出し医学記者の私は、医学用語学習から始めることとなった。この老年学会の総会のおりに、基礎老化研究会が基礎老化学会(大田邦夫会長)となり、日本老年学会に参画することが決定した。
■英国の老年医学者 Exton-Smith講演■
日本老年医学会において、英国老年医学会(British Geriatrics Society:BGS)会長のArthur Norman Exton-Smith教授が、「老化と栄養」のテーマで特別講演を行った。講演の要旨は以下のようであった。
「老化による生理機能減退に伴うエネルギー消耗の低下、疾病要因のストレス、環境因子、薬禍などの諸要因によって栄養の保持が悪くなり、それが老化を促進している。」
この講演の取材記事を、医学界新聞・第1476号(1981年12月7日)に掲載した。
Exton-Smith 教授は、世界的に著名な老年医学者である。高齢者における加齢に関連した身体能力、とくに体温調節やバランス機能の衰退とその医学的ケアの改善の研究に一生を捧げた。ロンドンのSt. Pancras病院で臨床と研究に従事した。1920年に生まれ1990年に亡くなっている。
(2018.10.29.)
(私の「医人」たちの肖像―〔14〕Exton-Smithさんと講演「老化と栄養」~1981年10月15日)