TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

私の「医人」たちの肖像ー(22) Richard Dollと講演「癌の疫学研究」~1983年10月11日(水)

(22)Richard Dollさんと講演「癌の疫学研究」~1983年10月11日(水)

 

   1983年10月11日(水)。午後16時から、がん研究所(「通称「がん研」)に、ドール(Richard Doll)博士の講演会を取材に行った。
 ドールさんは著名な疫学者である。癌発生の疫学的解明に長年にわたり尽くされ、ナイトの爵位を授与された。サー・リチャード・ドール(リチャード・ドール卿)が、正式なお名前である。
■癌の要因の70パーセント―食生活・喫煙・アルコール■
●1983年10月11日(水):
 癌疫学者のドールとペトー(Richard Peto)両博士は、アメリカの国立衛生研究所(NIH)の依頼を受けて、1981年に癌の発生要因を推計している。それによると、食生活(食物)が実に35パーセントに上り、以下喫煙(30パーセント)、感染症(10パーセント)、出産・性生活(7パーセント)、職業(4パーセント)、アルコール(3パーセント)などと続く。食生活・喫煙・アルコールだけでも、癌の発生要因の約70パーセントを占める。その頃わが国では、国立がんセンター研究所・疫学部長の平山 雄さんが、癌の発生要因として、喫煙に警鐘を鳴らしていた。それから三五年後の現在(2018年)、禁煙に止まらず受動喫煙防止対策が講じられていることを考えると隔世の感がある。
■がん研とは
 がん研は、1908年に創立された日本初のがん専門の研究機関である。築地のがんセンターが国立であるのに対して、がん研は公益財団法人で、いわば民間の癌研究拠点であった。池袋(というより大塚)にあり、癌治療専門の病院も併設していた。むしろ、癌治療病院が癌研究所を併設していたといったほうが相応しいのかもしれない。がん研にその頃、平成天皇の弟君(常陸宮)さまが研究員として勤務されていた。がん研を訪れると、グレーの作業用ジャンパーを着た宮様の姿をお見かけすることもあった。東大医学部・病理学出身の菅野晴夫さんが、長いこと(1973~1993年)「がん研所長」を務めていた。この時から十数年後に、がん研は有明に移転して「がん研有明病院」として現在に至っている。
(2018.10.28)
(私の「医人」たちの肖像― 〔22〕Richard Dollさんと講演「癌の疫学研究」~1983年10月11日)