この世をばわが世とぞ思ふ 望月の欠けたることも なしとを思へば
ご存知の藤原道長の歌である。『大鏡』を読んだ。この物語は、太政大臣の藤原道長の時代の話である。実は今回も、「ストーリーで楽しむ日本の古典」(岩崎書店)のシリーズ本の一冊である。この本は、日本の古典を少年少女向けに、わかりやすい日本語で翻案したシリーズである。このシリーズで『古事記』『雨月物語』を読んでいるので、今回で三冊目である。『雨月物語』は那須田敦さんという方の翻案である。
時は1046年、京の都である。主人公は尊仁皇太弟(のちの後三条天皇)と、そのご学友の源俊房、ともに13歳の少年である。二人は、ある時、雲林院にもののけの話を聞き気に行く。雲林院では、仏さまの話などを聞く菩提講が行われている。