TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

書評「免疫の意味論」(中井久夫)を読んでの書評に触発されて思うこと

 『時のしずく』(中井久夫著、みすず書房)を先日から読んでいる。この本は精神科医中井久夫さんがいろいろな雑誌等に書いてきたエッセイを集大成して一冊にまとめた本である。

 「私の人生はさまざまな形で私を大きく動かした人々との対人関係の集大成である。」と書いている。この本を読んで中井さんは最初は法学部かどこかに入学して病気になって療養中に医学に転ずることにした。医学部をでてから初めはウイルス学に進み途中から精神科に転じたのだということを、この本で知った。それはともかくここでは<「超システム」の生成と瓦解―多田富雄著『免疫の意味論』>に触れる。 

 これは『免疫の意味論』の書評である。この書評は雑誌「文化会議」(いまは無い)に寄稿した書評であるんだという。
「戦後の医学における免疫学の千葉大学はウイルス学の東北大学などと同じく、全国的な研究人材を生む特異点であった。著者はその第二世代の俊秀で、東京大学免疫学教授である。氏はまた『イタリアの旅から』(誠信書房、1992)の著者でもある。・・・・これと平行して書かれ翌年に出た本書は世界最初の現代免疫学を展望した一般書である。」と冒頭に書いてある。

『免疫の意味論』は私も読んだが、精神科医の中井さんの解説は新鮮で目から鱗の感じもする。
 <免疫系は実は曖昧さと冗長を特徴とする分子群が運営する「混沌の王国」である。・・・それを、著者は「超(スーパー)システム」の概念を提出する。>

 『免疫の意味論』のことを調べていたら、松岡正剛さんが「千夜一夜」いうネットの文章で多田さんの『免疫の意味論』に言及していた。これがすこぶる面白い。この文章(書評)は多田さんの『生命をめぐる対話』(大和書房)を援用しながら面白おかしく書いているのだ。ここまで来ると『免疫の意味論』」と『生命をめぐる対話』を探してまた読んでみるしかないだろう。