「朝日歌壇」は、最初の選者があの石川啄木さんなんだと知った。啄木が、選者を務めたのは長くはないはずだ。啄木は、生活のために最初は、校正係になったえ、本郷の床屋の二階から、市電に乗って銀座の朝日新聞社に通勤した。
「働けど働けどわが暮らし楽にならざり・・・・」なんて、歌をよんだが、よく勤めを休んだ不良会社員だったらしい。それでも、「朝日歌壇」の選者の仕事は熱心にやったらしい。
さて、この間(11月4日)の朝日新聞に標題の記事がでていた。朝日歌壇の現在の選者は、高野公彦、佐佐木幸綱、馬場あき子、永田和宏の四名の方だが、番外地の選者は佐佐木幸綱さんだ。
マスクの歌が多かったらしい。「こんなにたくさんのマスクの短歌が一時期に作られたのは、短歌史上初めてのことだと思う」と佐佐木さん。
それは、そうだろう。これまで、風邪をひいたときしかマスクはしなかった。
<使い捨てマスク渡せば ありがとう一生大事にするわ と母笑む(原田りえ子)>
<選挙前マスク外し二枚舌当選すればマスクで隠す(福井恒博)>
<何もかも裏目となる政策は表無しなり お・も・て・なしなり(中島則子)>
<老いた友の再婚相手の年を聞き背面飛びのようにのけぞる(松本進)>
佐佐木さんが選んだ、歌から面白いのを私がさらに選んだ。世相の短歌は、個人を詠うよりも世相を切り取るのである。こういう歌も紹介していた。
<新しい友達できた鼻と口いまだ知らずに会話しており(小川吾一)>
小川さんは、高校生くらいの若い人なんだろうか。
こうして、短歌を読んでみても、簡単そうでほうとうに詠めないのだ。