新緑の美しい季節だ。10時過ぎから買いものを兼て散歩にでた。途中で稲城市立図書館に寄った。例によって返却棚をみた。雑誌「すばる」1月号を眼にした。瀬戸内寂聴さんの追悼エッセイが載っていたので、興味を惹かれて借りてきた。
瀬戸内さんは、突き抜けてしまった女性なので、既に追悼の文章は幾つかよんだ。高橋源一郎さんが、たしか朝日新聞に書いていた。かれが世に出るきっかになった、[さようなら、ギャングたち]を瀬戸内さんが評価したのだった。乙武さんが不倫をしたときにも、それを受け入れて、貴方はもう作家になるしかないわね、と言って乙武さんを励ましていた。瀬戸内さんは、突き抜けて高みに達した方なので、もう怖いものも失うものもないのだとおもう。
さて、追悼は、高樹のぶ子、辻仁成、井上荒野、綿矢りさ、田中慎弥の五名が書いていた。辻仁成さんは、いまパリで息子と暮らしているのだが、もう60才を超えていて、いがいとまともなことを書いていた。わたしの仕事で後世に残るのは、源氏物語の現代語訳だけだと、瀬戸内さん本人がいっていた、となにかで読んだことがある。そんなものかもしれない。追悼の中では、やはり、井上荒野さん文章がよかった。