TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『多民族社会を生きるー転換期のロシアの人間形成ー』(関啓子著)を借りて来たーもう一人の関啓子さんのこと

 関啓子さんの書かれた『多民族社会を生きるー転換期のロシアの人間形成ー』(新読書社)を借りて来た。関啓子さんのお名前には40数年前に接点があった。ご本人とは多分お目にかかっていない。いまから40年くらい前に、東京・文京区本郷にあった出版社「新読書社」の社主・伊集院俊隆さんが本郷ロシア語クールスというロシア教室を主催していた。ここでは「ロシア語文化研究会」というサークルというか研究会も併設していた。この辺りで、私は関啓子さんのお名前に接したことがあった。一橋大学に所属されている研究者でロシア語もやっていると知った。この時に東京都神経研の関啓子さんのお名前が頭の片隅によぎった。この時から50年を経過した先日(2022年10月)、本書『多民族社会を生きるー転換期のロシアの人間形成ー』を偶然に発見して二人の関啓子さんの存在を知った。二人は別人であった。本書の著者の関啓子さんは、1948年松戸市生まれ。一橋大学社会学研究科卒で、一橋大学社会学研究科教授(もう名誉教授)。『全面発達と人間解放ークループスカヤの初期教育思想の研究』(明治図書、1985年)、『クループスカヤの思想史的研究』(新読書社、1994年)、等々の著書がある。クループスカヤを通じて伊集院俊隆さんとの接点があったのだ。1990年代といえばソビエト連邦の時代であった。レーニンの奥さんであったクループスカヤが、すぐれた教育者として評価されていた。ソ連が崩壊してのロシアにあって、クループスカヤはどのように評価されているのだろうか。

 それはともかく、本書『多民族社会を生きるー転換期のロシアの人間形成ー』の刊行は、2002年4月27日、であるから既にソ連が崩壊して、ロシア共和国になってからのものだ。

<エッセイを書いたらどうかとの伊集院俊隆さんのすすめを受けて、かれこれ八年がすぎようとしている。・・・・エッセイの準備を始める前からほぼ毎年、モスクワを訪問し、調査や聞き取りをおこなってきたことを思えば、、旧ソ連邦に生きてきた人々の崩壊後のほぼ十年の歩みに寄り添ったことになる。・・・・しびれをきらしつつも長く原稿をお待ちくださった伊集院俊隆先生、本作りにご尽力をくださった伊集院隆介さんと吉田知子さんに、どのようにお礼のことばを申し述べたらよいものか。>

 あとがきを引用した。本書は、2002年にでたから、もう20年も前だ。これまで、この本の存在も知らなかった。目次から、以下に大項目を書いておく。
Ⅰ 寄稿文への旅立ち
Ⅱ 非ロシア人のモスクワ物語
Ⅲ 民族自立への強い要求―タタルスタンとバシコルトスタン
Ⅳ 東シベリアと極東に見る中央と地方
Ⅴ ウズベキスタンにおける民族・宗教・教育
Ⅵ 結び

 この本を読まないうちに返却の期限が来てしまった。また借りる時のために概要を記録した。現在、ロシアとウクライナは戦争状態にある。本書には、ウクライナのことは言及されていないようだ。そもそもウクライナは小ロシアと呼ばれていたことからわかるように、旧ソ連において、シベリヤやウズベキスタンに比べれば、もっとロシアに近い存在だったはずなのに・・・。ロシアはもともと一つではないのだ。ロシアを知るために本書を読んでみたい。