『動きすぎてはいけない』は、千葉雅也さんの東大の博士論文もとにして単行本に纏めたものなんだとしった。大部な本である。「勉強の哲学」より、読めるかもしれない。読み始めた。
【序―切断論】
多分、完璧には理解できないだろうから、分かったところ、面白かったところを書きぬく。この本は、要するにフランスの哲学者、ドゥルーズとガタリの入門書だ。もしかしたら、『現代思想入門』を先に読んだ方がいいのかも?
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<ドゥルーズ&ガタリは、時代の閉塞感に解毒剤を与えてくれそうだった。
60年代の左翼学生運動の退潮後は、旧体制のみならず、若き反体制もまた、結局のところ「夫権的」に私たちを一丸とする正しい理念の押し売りでしかなかったという幻滅をが、急成長する消費社会のなかでうやむやにされていく。革命の夢は潰えた。そうした状況からどう一線を画するか、体制/反体制の前提にある「古い近代」の地盤からどう離脱するかという課題に、ドゥルーズ&ガタリの登場は、新鮮な風を吹きかけたのである。日本におけるこうしたドゥルーズ&ガタリ受容を定着させたのは、1981年から青土社の『現代思想』に掲載された、バブル景気が本格化する手前の83年に出版された浅田彰の『構造と力』であり、また翌84年の『闘争論』である。
浅田の議論は、加速する資本主義に対する、鮮やかな褒め殺しであったと言えるだろう。>
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私は1971年に就職、つまり日本の資本主義体制の働き手として45年間を過ごしてきたのだった。1971年~1985年くらいまでは、「現代思想」も」「ユリーカ」も青土社から買って読んでいた。浅田彰の『構造と力』は読まなかったろう。それ以降は日常生活に埋没して齢をかさねてきたのだった。
(読書は続ける)