『オーバーヒート』を先日から読み続けている。千葉さんは流れるような文体で、「自分のこと」を書いているんだとわかった。小説とは自分のことを包み隠さずに書けばよいのだ。普通は、自分のことを隠したくなって、チョットカッコよくウソを書くのでダメなのだと思う。今日で、「2」まで」読んできた。
大阪に住んでいて阪急電車で京都の大学に先生として通っている。哲学が専門だから「作者」が主人公であるわけだ。作者には「晴人」という年下の恋人というか、男友だちもいる。
<晴人と出会った当初は職業をぼかしていたが、そのうちにネットに出たエッセイをひとつ見せたら、読んで面白がってくれた。晴人はそういうタイプの文章で僕を理解している。・・・・・
だが学者としてのキャリアがどうでもいいわけじゃなく、これが本業だという意識で、今月頭からは「現代思想入門」の執筆とりかかった。ドゥルーズ、デリダ、フーコーといった往年のフランス思想の代表者を紹介するもの。しかし入門書が本業といえるかはまた微妙で、もっとガチガチに専門的なものを書くのが本業たる本業のはずで、だからこの企画にしても今の状態でなんとか妥協策だった。>
上のような小説の文章を読むと、私の日常生活紹介のようなものだろう。この小説「『オーバーヒート』は、2021年6月号、雑誌「新潮」に載っているから、書いていたのは2019~2020年頃なんだろうか。
ということで、千葉雅也さんの本を読んでいたら気になる本の広告が載っていた(朝日新聞朝刊、2023年2月11日)。
『現代思想入門』(講談社、現代新書、2022年3月16日)この本も既に、図書館にリクエストしたが人気があるので直ぐには読めないだろう。そこで、件の広告の文言を記憶と記録のために書いておきたい。
<最高峰の哲学者たちの「考えていること」が面白いほどよくわかる!哲学とライフハックがだダイレクトにつながる!秩序からの逸脱を肯定する言葉に励まされる!>なんて、書いてある。「ライフハック」ってどういう意味なんだろう。「”本物の哲学”はこんなにも人生に効く!」って書いてある。おまけに千葉雅也さんの顔写真までついている。「2023年新書大賞ーChuokoron-shinsha」の第1位なんだって。累計13万部突破と売れているんだ。もう買うのは止めた。借りられるまで待とう。
こういう本もあるぞ。
『言語が消滅する前に(幻冬舎新書、國分巧一郎、千葉雅也)』860円。この本は幻冬舎新書15周年出版らしい。國分さんといえば、『中動態の世界』「暇と退屈の倫理学』を書いた人だろう。この辺りの人たちが最近の人文学書の旬の書き手のようだ。