TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

 ケストラー(ハンガリーのユダヤ系作家)のこと ~「還元主義を超えて」

 本日は楽さん会の4月お花見散策会であった。午前10時30分に小田急多摩線はるひ野駅に集合した。総勢5名で多摩よこやまの道か桜ひろば、桜の丘を経由して若葉台の豚カツ和光でランチ会をした。

 帰宅して、昨日(4月5日)届いたSS先生からのメールに添付の「ハザール」(城田俊、水声社)に対しての下斗米伸夫さん(神奈川大学特別招聘教授)による書評(公明新聞、4月1日)を読んだ。この書評は著者からの献本を読んで下斗米伸夫さんが自ら書いたのだろうか?タイトルは「ウクライナユダヤ人とは誰か」というものだ。
 城田さんの『はざーる』に対する本格的な書評(紙媒体)は初である。公明新聞という媒体も適切と思う。ロシアのウクライナ侵攻(2022年2月24日)以来、正面からロシアに向き合う媒体(新聞、雑誌)は少ないと思う。どういうわけか日本でロシアといま繋がっているのは公明党公明新聞)なのかもしれない。下斗米さんが若き日にモスクワ大学に留学する前に私は一度だけ接点があった。それで、下斗米さんが『プーチンの論理』を出版した(2022年10月)折にも興味を持って本のことを記しておいた。この本まだ読んでいないのだが・・・。気になったので、この書評を引用しながら読んでみたい。

 <中央ユーラシアにトルコ系でありながらユダヤ教を取り入れた遊牧民の国ハザールがあったことは、イブン・ファドラーンなどイスラム教徒の旅行記や歴史記述でも知られて老いる。>
 ■イブン・ファドラーン■
 10世紀のアラブ人の旅行家である。アッバース朝カリフがヴォルガ・ブルガール王に派遣した使節団に加わった際に記した見聞録で知られる。

 <1970年代にはハンガリーの著名なユダヤ系作家ケストラーが、中東欧出のユダヤ人(アシュケナージ)とはハザールの末裔であるという仮説を説いて話題を呼んだ。トルコ族の突厥系とも言われるウイグル人もその流れにある。>

アーサー・ケストラー
 アシュケナージユダヤ人は、東欧諸国(ドイツ、ポーランド、ロシア)に居住していた祖先を持つユダヤ人の2大グうループの一つ。もう一方は、セフェルディ系ユダヤ人と呼ばれ、こちらは北アフリカ、中東、スペインに居住した祖先を持つ。米国在住のユダヤ人は、大部分がアシュケナージユダヤ人である。(ネットで調べた。)

 アーサー・ケストラーは、ユダヤ人のジャーナリスト、小説家、政治活動家、哲学者。ハンガリー出身のユダヤ人ありなが、著書『第十三支族』で、アシュケナナムユダヤ人のルーツはユダヤ教に改宗したハザール人であると指摘した。、あた、ソ連の現状など当時タブーとされていたことを積極的に書いた。ブダペスト1905年生まれ。後にイギリスの帰化したが、1983年3月3日に妻と共に自死した。

<コメント>
 ケストラーの名前を知ったのは、1983年に当時携わっていた週刊医学界新聞で「分子生物学の30年」の特集を企画したときであった(企画新たのは、先輩編集者の樋口覚氏だった)。DNAの発見(1953年)から30年目だった。その時に、人間を細胞から分子、さらにDNAまえで遡っていっても人間は分からない。という観点から、「還元主義を超えて」という考えにたどりついた。当時、「還元主義を超えて アルプバッハ・シンポジウム ’68 」(アーサー・ケストラーの翻訳(池田善昭)が工作舎から出ていた。ケストラーは『ホロン革命』(工作舎)という本で、部分と全体、全体主義と還元主義の矛盾を超えるべく提示した画期的なコンセプト『ホロン』を提唱した。ケストラーの『偶然の本質』(村上陽一郎訳、河野書店)を買って持っていると思うが読んだのかもしれない。とにもかくにも、「還元主義を超えて」の概念のと共にケストラーの名前を覚えていた。

 <巨大なひろがりを持ちながら史料が乏しいこの謎の国家ハザールを、ソ連崩壊後に現れた中世ユーラシア史料や知見に即して切り込んだのが城田氏の快著だ。>

 <ユダヤ教は、古代ユダヤ人が神に選ばれた民族だという信条に由来するが、ユダヤ人とユダヤ教徒とは実は同じではない。ウクライナポーランドに多かったユダヤ人とは誰か、城田説はウクライナ戦争を含む現代史上の謎にも解明の光を与えそうだ。欧米中心史観の限界が指摘されなか、ユーラシアと世界の見方を一変させる歴史書の登場に拍手したい。>

 この「書評」で読者が増えるだろう。ケストラーを思い出させてくれたのも収穫であった。