『ヰタ・セクスアリス』(森鷗外)を読み終えた。面白いというよりも知的な小説であった。この本を掲載した雑誌「昴」が発売禁止になっただなんて信じられない。時代背景がどう考えたらいいのだろう。
鷗外は東京帝第一医学部をでた医師であった。それも軍医総監になったのだ。軍医と言うのだから普通の医師ではない。鷗外が医師で九州小倉に左遷されて小倉に勤務していたことがあった。「或る小倉日記」という松本清張の小説は鷗外の小倉勤務時代の日記にかんするものだった。
読みおわったあとで高橋義孝さんの「解説」を読んだ。
<鷗外の生涯をその閲歴のう上から区切ってみるに、明治40年11月13日の陸軍軍医総監就任を一つの境界石とするのがいい。その前半には、おびただしい量の評論文執筆がある。若干の抒情的小説の製作がある。小倉左遷のことがある。再婚のことがある。日清・日露両戦役出征のことがある。・・>
続く