高槻の こずえにありて 頬白の さへずる春と なりにけるかも (島木赤彦)
山国の冬もよややく過ぎ去り、 高いけやきのてっぺんの枝にとまった ほほじろが高らかにさえずる 春になったんだな。
この歌も50年前の中学国語の教科書に掲載されていた定番の歌の一つだ。いまも紹介されているのかどうかは知らない。「槻(つき)」が欅(けやき)のことだというのは今まで知らなかった。頬白(ほおじろ)は雀より少し大きめで頬が白いので幼少期を過ごした群馬の田舎でもよくみかけた。「チチ・チチ・チチ」と特徴のある声で鳴いていた。雀は群れでいるが頬白は群れない鳥だったと思う。赤彦の歌では「さへずる春」と謳われいるが、秋によく見かける鳥だと私は思っていたがどうなのだろうか?「秋来ぬと目にはさやかに見えねども・・・」に近いような印象を勝手にいだいていた。