TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

「私のC型肝炎物語」 第1章: 非A非B(NANB)型肝炎ウイルスからC型肝炎ウイルス(HCV)へ―(1)姿を見せるか非A非B型肝炎ウイルス

第1章: 非A非B(NANB)型肝炎ウイルスからC型肝炎ウイルスHCV)へ―(1)姿を見せるか非A非B型肝炎ウイルス

 

   C型慢性肝炎の97%が、インターフェロンフリーの飲み薬により治癒できる時代になった。インターフェロンフリーとは、インターフェロンを使わないと言う意味である。インターフェロンが注射薬で副作用が強かったのに対し、新たなウイルス排除薬は、比較的あるいは全く副作用もない飲み薬だ。画期的な医学医療の成果である。

遡って、この物語の初めにC型肝炎ウイルスが、A型でない(非A)、B型でない(非B)という意味で、「非A非B型肝炎ウイルス」と呼ばれていた時代のことに触れたい。非A非B(NANB)型肝炎ウイルスが発見され、「C型肝炎ウイルスHCV: Hepatitis C Virus)と命名されたのは1988年だった。今から30余年前のことである。

 

■姿を見せるか「非A非B型肝炎ウイルス」■

  • 1982年5月31日:

   東京・文京区本郷にある医学書院発行の週刊医学界新聞では、第1500号(1982年5月31日付)第2特集として、「非A非B型肝炎」をテーマに取り上げた。これは第56回日本感染症学会(1982年4月・東京)におけるシンポジウム「非A非B型肝炎」からの紹介である。司会は志方俊夫さん(日本大学医学部教授・病理学)であった。

「ウイルス性肝炎は感染症の中でコントロールすることなく残った感染症である。ほかにも原因不明の疾患はあるが、少なくとも疾患100万単位で死亡率のベストテンに入ってキャリアは200~300万人存在し、肝硬変による死亡(その85%はウイルス性肝炎)は全結核を上回る。HA(A型肝炎)、HB(B型肝炎)は確定診断が可能となり、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)で輸血後肝炎のスクリーニングが可能になったにもかかわらず一向に減少しない。現在、少なくとも3種類の肝炎ウイルス(NANB)が存在すると考えられる。散発例も流行例もみられる。輸血後肝炎のほとんどはNANBである。」

   上記は司会の志方さんの冒頭の解説である。これを読むと当時の「非A非B型肝炎ウイルス」の研究段階がよくわかる。「非A非B型肝炎ウイルス」が、姿を見せる前夜のことである。シンポジウムでは、松下寛氏(浜松医大)、矢野右人氏(国立長崎中央病院)、古田精市氏(信州大)他が臨床例を中心にして報告した。さらに志方俊夫教授研究室から清水洋子氏が、「非A非B型肝炎の電顕像」のテーマで報告している。1980年代の初頭から、「非A非B型肝炎ウイルス」をめぐって、世界各国の研究者が鎬を削っていた。

(2019.2.2)

(「私のⅭ型肝炎物語」 第1章: 非A非B(NANB)型肝炎ウイルスからC型肝炎ウイルスHCV)へ―〔1〕 姿を見せるか非A非B型肝炎ウイルス)