TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

「私の視点―がんゲノム医療 病理専門医正しく関与を」に触発されて


「癌ゲノム医療―病理専門医正しく関与を」という興味深い記事を(2019年3月30日)朝日新聞・朝刊「私の視点」という投稿欄で見つけた。著者の長村義之さん(元日本病理学会理事長・米国病理協会査察官)は二度くらいお目にかかったことがある。脳外科の雑誌で脳腫瘍に関する座談会に出席いただいたような気がする。今回は長村さんの論旨を紹介することで記憶に留めたい。以下は引用しながらの記述となる。
 がんの遺伝子変異を調べ、最も効果的な治療薬を選ぶ医療を「がんゲノム医療」と言う。今後、一度に100種類以上の遺伝子変異を解析できる装置を利用した検査が承認され、公的医療保険が今春には適用される見通しだと言う。がんは遺伝子の病気であるから上記の解析装置の導入は歓迎される。しかし、検査に供される検体(患者から採った細胞)に問題があれば検査そのものが無意味になってしまう。検体にがん細胞が十分に含まれているか、適切に保管されているかの重要な手順は顕微鏡による診断を日常的に行う病理専門医の責任により行われるべきである。しかし、医療法の一部改正により、この手順に病理医の関与が絶対ではなくなった点に大いに疑問を感じる。日本の病院は、組織や細胞を調べる「病理診断」と、血液や尿を調べる「臨床検査」とでは所属する学会が異なる。院内の組織も別になっており、遺伝子検査和後者で行われるようになった。米国の病院では、両部門が統合して運営されていて、遺伝子解析は病理医が主体だが、臨床検査の担当者と協力しながら効率よく診断を行っている。日本でも、米国型の「ゲノム解析部門」のような組織を設置して、病理医はもとより、臨床検査や臨床検査技師が共同して作業にあたることがましい。
 この「私の視点」は読者にどの程度の反響を呼ぶものだろうか。楽しみである。蛇足だが、同じ紙面の左には「東京五輪とSDGs適切な木材調達を進めて」という川上豊幸さんという方の「私の視点」も載っていた。これにも考えさせられた。