ドストエフスキーとニコライ・カサ―トキンの本を一杯出している中村健之介さんの長女が中村和恵さん(明治大学教授・詩人、随筆家)だ。著書に『日本語に生まれて』『天気予報』「ドレス・アフター・ドレス』などがあるんだという。どれも読んだことがない。詩人としては、荒川洋治に師事したと何処かで読んだことがある。ときどき、新聞や雑誌で中村和恵さんがエッセーを書いているのを読んだことがある。専門は、アアメリカ文学、それも太平洋のアメリカ領の少数民族の方々の文学だったかと思う。
最近は、あまりみかけなかったので心配していた。中村健之介さんも、奥様の中村悦子さんも体調を崩されていることを人づてに聞いた。もしかしたら、和恵さんが両親のお世話で時間が足りないのかとも思っていた。そこへきて、標題の記事を目にして嬉しい限りだ。以下に私なりに読み解いておく。
名古屋出入国在留管理局に7ヵ月収容され、スリランカ人のウイシュマ・サンダマリさんが、今年の3月に亡くなった。
中村さんは、サンダマリさんの死をひとつのキッカケとして、「欧米か日本か」を離れて考え合う場を作っていきたいと、言っている。結びを引用する。
<この秋、スリランカの話をかれら(学生たち)にしようと思う。その長い歴史、複数の言語と文学、激しい内紛の後も山積する問題に向き合つづける人々のことを。明治以来、日本の高等教育が抱えてきた欧米か日本かという二元論、つまりは「その他」軽視の旧弊から離れ、この国を、あらゆる国や地域を、すべて世界ネットワークの不可欠な一部として、考え直すために。>