「赤と白群れて離れて曼殊沙華(まんじゅしゃげ) 宝塚市 大島三郎」⇒大串章選
彼岸花とは不思議な花である。毎年、秋の訪れが早い時も遅い時も、彼岸花は同じ日に咲くような気がする。それもある日に忽然と咲く。前夜に茎が無くても一夜で伸びて翌日には花を咲かせる。彼岸花は朱色だと思っていたが白もある。同じ所に赤白と入り乱れて咲くのである。これは突然変異なのだろうか?彼岸花は曼殊沙華ともいう。
さて、つぎに、朝日歌壇に移る。
<秋の日の朝の陽ざしの中に立つみずから光るごとき黒やぎ(観音寺市 篠原俊則)>⇒ 馬場あき子
<あの夏の熱きひと日の輝きよユニフォーム脱ぐハンカチ王子(観音寺市 篠原俊則)⇒佐佐木幸綱
コメント:篠原さんが、今週も2首が入選していた。篠原さんは、世相を詠むひとと思っていたが、「光るごとき黒やぎ」とはどういう状況だろうか? 「ハンカチ王子」のほうの歌は、世相を切り取っている。それでも、人の世の移ろいの寂しさを詠っている。
<はぎ、すすき、コスモス秋は揺るるもの揺らしてふかき風をいざなふ(福島市 美原凍子)>⇒ 高野公彦、永田和宏共選
コメント:「深き風をいざなふ」が詩的で、いかにも秋らしい」と、高野さんが言っている。「美原さん、秋は緩るるもの揺らして、の接続がいい」とは永田さんが言う。この歌は、自然を自然に詠んでいる。
クッキーを届けし袋が冬瓜(とうがん)を入れて戻りしレシピと共に(町田市 村田知子)⇒高野公彦、佐佐木幸綱共選
コメント:こういうあたりまえの生活の日常も歌になるんだと知った。
<爆音にただただ耐へてアフガンのロバよ大きな耳はかなしい(大和市 澤田睦子)>⇒永田和宏、馬場あき子共選
コメント:アフガニスタンから米軍が撤退する。アフガンにはロバが多いんだろうか?
心電図に「ハートは元気」と医師の笑むこんなに苦しい恋をしてるのに(横浜市 岡田紀子)>⇒高野公彦、馬場あき子共選
コメント:心電図は検査技師がとり、結果を医師が読んで「異常ありません」というのが今の医療だ。医師は、「ハートは元気」んいうことはない。これは変な作りの歌だ。
篠原さんは、世相歌の達人と思っていたが、以下の歌は今週の一押しだ。
秋の日の朝の陽ざしの中に立つみずから光るごとき黒やぎ(観音寺市 篠原俊則)