TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

詩人 新藤凉子さんて―すごい人なんだ

  朝日新聞夕刊(2023年3月4日)に掲載の「惜別」という欄に詩人新藤凉子さん「生の実感 ありのままにぶつけた」という記事を見つけて興味深く読んだ。女性の詩人と言えば、富岡多恵子さん、石垣りんさん、高橋順子さん、金井美恵子さんくらいしか思い浮かばない。あんまり知らないのだね。田中瞳子さんという記者の署名記事だ。引用しながら記録しておきたい。

  <「なんど生まれかわっても やっぱり女に生まれましょう(「天使のうた」より)
 生きることを、ありのままに、迷いなく愛した詩人だった。
 草野心平らが創刊した詩誌「歴程」を受け継ぎ、亡くなるまで編集発行人を務めた。ともに活動した詩人・高橋順子さん(78)は「新藤さんの詩には必ず血が通っている。度胸と勇気があるひとだから」と話す。>

 新藤さんは、1932年3月23日生まれで、昨年(2022)、10月7日に90歳で亡くなっている。結婚しているんだ。夫は古屋奎二といいう方で、元産経新聞論説副主幹、近畿大学中国文化史教授だったひとなんだという。2000年に69歳で逝去されている。ウキペディアで調べると、1950年代に新宿で文壇バー「とと」を経営し、客であった水上勉と同棲していた。水上が直木賞を受賞すると、別の女との結婚を勧めたんだという。高橋順子と親しく、2005年に車谷長吉と三人で世界一周の旅をした。
 ここまで読んでくると、あの変人奇人作家の車谷長吉さんと高橋順子さんと船の旅をしたなんて一筋縄のひとではないだろう。ますます興味を惹かれた。

<「薔薇歌」「薔薇ふみ」「薔薇いろのカモメ」。詩集のタイトルには好んで薔薇をつけた。血の象徴、生きることの象徴だ。血潮のようね流れ、あふれる感情を平明な言葉で表現した。〈詩がなければ私は生きられなかったでしょう〉70代で出した詩集のあとがきに、そう書いた。生きている実感を、詩にぶつけていた。>

 これはすごい人だね。15歳の少年詩人はいるが、70歳の老婆(んたって失礼)詩人がいるんだ。

<詩人人生の後半で特に高い評価を得た。高見順賞を受けたのは、50代、丸山薫賞は70代のとき。文芸評論家・三浦雅士さん(76)は「晩年に向かうほど詩が深まり、豊かになる。人間としての成長と詩の成長が合致する人だった」と語る。>

 「人間としての成長と詩の成長が合致するひとだった」ってすごい人なんだね、やはり。

<強い生の背景には、死があった。旧満州で暮らした幼少期に、姉と父を亡くした。高見順賞を受けた詩集の収録作「曠野」は、父を亡くした当時のことがモチーフだ。>

 新藤さんの詩集を読んでみたい。

 

 

続く(時間切れ)