TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

本がともだち—そして最近の新聞報道から飲む中絶薬と「内密出産」

 午前中から稲城市立図書館に本を返し借りてきた。五冊の本。以下だ。

(1)松井久子『疼くひと』(中央公論、2021年)
(2)斎藤学アダルト・チルドレンと家族』(1996 年、学陽書房
(3)中田力『脳の方程式 いち・たす・いち』(2002年、紀伊国屋書店
(4)川村元気『百花』(2019年、文藝春秋
(5)國分巧一郎『中動態の世界ー意志と責任の考古学』(2017年、医学書院)

 借りた本のうち(5)だけはニ回目に借りた。(2)と(3)はリクエストして借りた。(1)(4)は返却棚で見つけて借りた。まず、松井久子さんの本から読み始める。『疼くひと』は、広告で概要を知って読みたいと思っていた。著者の松井久子さんは1946年生まれで全く私と同じ学年だ。この本を2021年に出した。70代の女性のセックスを伴う恋がテーマというので評判になった。そして2年後、76歳の松井さんが89歳のかたと結婚して話題になっていた。それはともかく、『疼くひと』を読み始めた。

 さて、閑話休題。つい最近、「不妊治療に保険適用」のことを紹介した。この流れで、「飲む中絶薬」のことが今日の朝日新聞の朝刊に載っていたのを読んだ。その記事に触れたい。

飲む中絶薬 承認へーまず入院可能な機関で処方、厚労省分科会(見出しから)

 <人工妊娠中絶のための飲み薬が承認される方向になった。厚生労働省の専門家分科会が4月21日、承認を了承した。国内では現在、妊娠初期の中絶方法は手術に限られるが、選択肢が広がることになる。今後、厚労省が正式に承認する。>

 新聞記事の冒頭から上のように引いた。一つには朗報といえるだろう。「望まぬ妊娠」「不幸な妊娠」の対処方法としては朗報だろう。一方で、「体外受精」治療への保険適用が2022年に施行された。人口減少が喧伝される中で、ほうんとうに人間ってなんだ、の印象がある。生き物とはそういうものだ。と捉えられる、ということか。

 さて、飲む「中絶薬」の製品名は「メフィーゴバック」というんだって。なんだこの名称は。英国の製薬会社ラインファーマが2021年12月に承認申請していた。厚労省の専門家部会は今年(2023)年1月、承認を了承する一方、「社会的な関心が高い」とし、パブリックコメントパブコメ)を募り、上部組織の専門家分科会でさらに了承をとる手続きを求めていた。
 「パブコメ」って何だ? ある政策等の策定途中で、それを公表して、広く一般から意見、課題、問題点等を指摘して貰うってことのようだ。
 (飲む中絶薬)の対象は、妊娠9週0日までの妊婦。妊娠を続けるために必要な黄体ホルモンのはたらきを抑える薬「ミフェプリストン」を1錠飲み、36〜48時間後に、子宮を収縮させるはたらきがある薬「ミソプロストール」2錠ずつをほおの内側で30分かけて溶かして使う。
(⇒このあと胎児を含む胎嚢が体外に出る。中絶完了。
 国内の臨床試験では、妊娠9週0日までの18~45歳の中絶を希望する女性120人参加した。薬の投与後24時間までに人工妊娠中絶に至った割合は93.3%だった。主な副作用として、下部腹痛(30.0%)、嘔吐(20.8%)が報告された。いずれも回復し、大半が軽度か中等度だった。
 (この薬の服用による)中絶の際に大量出血などの恐れもあるため、まずは適切な医療体制が整うまで、当面の間は入院対応が可能な医療機関の外来や入院で処方することになる。中絶は原則自由診療になるため、費用は医療機関によって異なる見込みだ。 (パブコメの結果の項目は省く)
 厚労省によると2021年度の人工妊娠中絶は12万6174件。飲む中絶薬は1988年に世界で初めて承認され現在は80以上の国・地域で使用。WHO(世界保健機関)は2014年に発表したガイドラインで、妊娠中絶の「安全で効果的」な方法として、吸引法か中絶薬を推奨している。
(以上は、神宮司実玲、市野塊さんの署名記事から引いた。)

<コメントと関連記事>
 上記に紹介した関連記事には、「飲む中絶薬 なお課題」の関連記事が載っていた。これまで、「吸引法」や「搔爬法」による中絶手術しかなかった初期の人工妊娠中絶の方法に、口から飲む中絶薬が新たに使えるようになる。

 日本の中絶をめぐる状況は「時代遅れ」とこれまで指摘されてきた。関連記事には、20年にわたって中絶問題を研究している塚原久美さん(金沢大学非常勤講師)のコメントが載っていた。
 「女性の性と生殖に関する健康と権利を保障せず、産む・産まない・いつ・何人こども産むか、などの選択も含めた『女性の自己決定権』を奪ってきたことが、女性を苦しめ、むしろ少子化に拍車をかけてきた。人権教育を推進し、すべての子どもが望まれて生まれてくるように安全な避妊や中絶を提供する体制を整えるべきだ。」

 今回、標記の記事を記録として紹介したのは、つい先日(2023年4月23日、朝日新聞朝刊)に、「膨らむおなか 誰にも頼れず内密出産した10代女性」という大きいな見出しの記事が第一面に載っていたのを読んだ記憶があったからだ。この記事の概要は、地方都市に住む十代の女性が望まぬ妊娠(それはそれで問題だが)をした。妊娠を告げられた相手の男子は逃げてしまって連絡がとれない。親にも言えず悩み苦しみ、「内密出産」という言葉をインターネットで調べて、熊本市にある慈恵病院にたどり着いた。こうして、誰にも知られず病院の担者だけに身元を明かして慈恵病医院で「内密出産」をすることができた。

 妊娠で悩む女性と赤ちゃんを救うために、慈恵病院は2007年赤ちゃんを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」を国内で初めて設置した。さらに病院の担当者にだけ身元を明かして出産する「内密出産」にも取り組み、2022年2月に1人目を公表して以降、1年余りで9人の女性が内密出産をしている。 (堀越理菜記者の署名記事から引用した)

<コメント> 慈恵病院は、熊本市にある、キリスト教系の産婦人科病院だ。蓮田健院長。この病院の活動に注目していきたい。二つの記事を関連して読むことで見えてくるものもある。