TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

第1章 ただいま「再審請求中」 『東京拘置所 死刑囚物語ー獄中20年と死刑囚の仲間たち』(澤地和夫著)を読んだ

 獄中の生活は、ひとを考えるひとあるいは作家にあるいは哲学者に変貌させるのかもしれない。あり余る時間もあるしアルコールなどの酔わせるものは飲まないかつ一汁一菜の食事は健康によいということなのかもしれない。永山則夫さんもそうだった。かのホリエモンさんも獄中で読書三昧だったようだ。ドストエフスキーも獄中生活が作家への才能を培ったのではないだろうか。
 澤地さんがこんなことを言っている。

 <私の、この20年におよぶ獄中生活での体験から申せば、獄中とて「住めば都」であって、心の持ち方によっては、さほどの苦痛を感じません。それは、一つには、自分は尊い二人の命を奪った罪多き人間であることを認めているがゆえに、一般人としてのあたりまえの社会生活を望む資格を求めていないからです。したがって、今の自分の身では、獄中以外での生存はありえなのだから、ここでの生に一定の価値を見出して生きるしかない。私はそう思っているのです。
 そのように考えるならば、獄中生活には、一般社会での生活やその人生で得ることのできない面も多々あって、そこに、獄中人生ゆえの得難い価値を発見することがありあます。
 それは、たとえば、孤独の副産物といったらよいのか、とにかく、何事につけても人間的により深く物を見詰めたり、考えたりする習慣が身につくこと。それは、自然とそうなっていくような環境と余りある時間があるからです。つまり、思想的、思索的に相当にレベルの高い生き方ができ、それを日々の」生活のなかでいつのまにか身につける人間に変身しているからです。うまく表現できませんが、要するに、それは人間的に相当に成熟した進歩ある生き方を身につけるに至っている、とでも申せばよいでしょうか。>

 長い引用をしたが、澤地さんは、かなり凄いことを言っている。既に、この時点で獄中20年を経過しており、澤地さんの思索はふかまってきているのだと思う。澤地さんは、高校卒で機動隊に入り、22年間働いてきたという経歴なのだから、決していわゆるインテリではなかった。それが、上の文章でもわかるが、わかりやすい表現で自分を語っている。本まで書くようになっているのである。
 (本日は、ここまで。続く。)

 気になる本を朝日新聞広告(2023年6月4日)から拾っておきたい。

(1)『整う力 朝が整うと、体調がよくなる!』(小林弘幸、興陽館、1210円)
(2)『認知症人間学認知症の人の内面世界を哲学から読み解く』(中村博武、風媒社、1980円)
 「誤解に満ちた固定観念から離れて、その内面世界を哲学的視座から見直し、認知症とともに生きることの意味を問う。」と宣伝にあるが、変な表現だなと思う。「生きる意味を問う」と言ったって、認知症は抱えていきるものだろう。病とはそういうものだ。読んでみたいが、反発も感じる。
(3)『機能不全家庭で死にかけた私が生還するまで』(吉川ばんび、晶文社、1650円)
 「アルコール依存の父、過干渉の母、家庭内暴力の兄をもつ著者が実体験で語る、貧困・虐待家族のリアル。見えざる弱者・傷ついた者の回復の道とは?」
 この本の著者の育った背景は、「アダルトチルドレン」そのもではないか。是非とも読んでみたい。