TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

 興味深い記事「対談:認知症予防のエビデンス構築、社会実装のこれまでとこれから」(医学界新聞)を読んで

 本日は合気道の水曜日稽古である。夕方から出かけるまでに標記の対談記事をまとめておきたい。今年3月に亡くなった作家の大江健三郎さんも最晩年は認知症気味であったらしい。講演会で同じことを繰り返しお話になったりして周囲に戸惑いの場面もあったらしい、と聞いた。「認知症」は脳の老化そのものであるのだろう。βアミロイドとか有害物質が脳に蓄積して障害をもたらすとしたら、それは病気に他ならないだろう。自然老化に伴う「物忘れ」なら余り害にはならない。

 さて、標記の対談「認知症予防のエビデンス構築、社会実装のこれまでとこれから」は、週刊医学界新聞第3518号(2023年5月22日付)に載っていた。櫻井孝氏(国立長寿医療研究センター所 長)と古和久朋氏(神戸大学院保健学科教授)のお二人によるものだ。

 <日本における認知症高齢者は2012年時点で462万人とされ、2025年には実に700万人近くが認知症を有すると推計されている。このデータは、平成26年(2014年)度厚労省科学補助金特別研究事業「日本における認知症高齢者人口推計に関する研究」(研究代表者=二宮利治、2015年)による。随分と数字が飛んでいる。このような研究は少ないんだろう。あと二年で2025年になるのだが、2023年の現在はどうなんだろう。こうした中で、「認知症施策推進総合戦略(オレンジプラン)ー認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて」が、厚生労働省ほか11府省庁によって策定された。さらに、2019年には、認知症施策推進関係閣僚会議による「認知症施策推進大綱」が取りまとめられた。

 「認知症施策推進大綱」が掲げる、「予防」施策に関しては、フィンランドで行われたFINGER研究で、運動、栄養指導、認知トレーニングといった多因子介入により、認知機能低下の速度が緩やかになることが報告されている。FINGER研究は、北欧のフィンランドで行われた画期医的な多施設研究で、FINGER (The  Finnish Geriatric Intervenntion  Study to Prevent  Cognitive Impairement and Disability)というもので、2015年に雑誌「Lancet]に掲載されたんだという。1260人もの高齢者を対象に、非薬物での介入を行った研究なんだという。日本でも、随分前に、九州大学の勝木司馬之助さんが行った「久山町研究」が有名だが、FINGERはすごい研究だね。
 ところで、日本でも、多因子介入プログラムの効果検証をすべく、多施設共同でのJ-MINT研究というのが進行中なんだという。Japan-Multimodal Intervenntion Trial for Prevention of Dementia(J-MINT)なんだが、日本における多施設認知症予防研究とでもいうのだろう。この研究を主導されている、桜井さんが対談でこう述べている。

 桜井 J-MINT研究は、AMED認知症等対策官民イノベーション実証基盤整備事業として研究費の提供を受けてスタートを切りました。認知症リスクを持っ高齢者531人を対象とした多施設オープンラベルランダム化比較試験(RCT)で、多因子介入プログラムの有効性の検証を目的としています。また、血液バイオマーカー、オミックス解析、脳画像解析を用いて、認知機能低下を抑制するメカニズムの解明も目指しています。最終的な目標は、認知症予防プログラムの社会実装で、ゆくゆくは全国的な仕組みを構築できればと考えています。
 なお、研究に必要な対象者の登録、介入は基本的にアカデミアで行いますが、J-MINT研究は最終的に社会実装を目的にしていることもあり、運動や栄養指導、認知トレーニングといった種類の介入は、企業に協力してもらっています。

 

<コメント>
 興味深い研究が開始されているのだと知った。知らない用語が出てきた。調べた。

AMED:「エーメド」は、医療分野の研究開発およびその環境整備の中核的な役割を担う機関として、2015年(平成27年)4月に設立された。基礎から実用までの一貫した研究開発の推進と、その成果の円滑な実用化を図るとともに、研究開発環境の整備を総合的かつ効果的に行うための様々な取り組みを行う国立研究開発法人である。いまの理事長は、三島良直さん。

社会実装: 独立行政法人JST)の社会技術という概念から生まれた言葉である。社会技術とは人間や社会のための科学技術という意味であるが、社会実装とは得られた研究成果を社会問題解決のために応用、展開することをいう。

途中まで、続く