TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『孤塁の名人ー合気を極めた男・佐川幸義』(津本陽、文藝春秋、2008年)を読み終えて書いておく

 『孤塁の名人ー合気を極めた男・佐川幸義』(津本陽文藝春秋、2008年)を読み終えた。この本を読み終えて、合気道についての考えが少し変わった。佐川さんは、そんなに昔の人ではない。『透明な力』(筑波大学の木村さんが書いた本)で、佐川さんの合気道のことは少しは知っていた。いまから三十年も前に、漫画家で合気道家でも知られる針スナオさんが、たしか朝日新聞に佐川幸義さんを紹介した記事を書いたことがある。私も読んだ。この新聞の切り抜きを合気道仲間の福沢さん(今は故人となられた)が合気道の稽古の折に持ってきた。仲間の一人の鈴木さん(現在の我々の師範、当時は5段くらいで、50歳代か)、小平市にある「佐川道場」に教えを請いに訪問したのだと聞いた。その頃、佐川幸義さん80歳台の末で病に倒れており、直接指導をしていただけなかったと聞いた。

 さて、この本は、ご自身で「佐川道場」に特別に入門を許された津本さんが、実際に

小平の佐川道場での経験に基づいて纏めた一種の「ノンフィクション」である。この本を読むと、「合気を取る」(こういう表現をしている)ことが至難の業であることがよくわかる。「合気上げ」が合気道の技の要であることもわかる。しかし、分かっっても「合気上げ」を身につけるのが難しく凡人にはできない。佐川幸義サンも、その師匠の武田そう角さんも、言い方は妙だが「剛の合気」のように思える。かつての合気道家は身体を鍛えて鍛えぬいその最後に初めて身体の力が抜けた緩みの「合気」に到達しているようなのだ。この本によると、大東流合気の創始者の武田そう角さんは、読み書きができなかったので、「免許皆伝」は全て代書(弟子に書かせた)なのだという。

 『透明な力』で佐川幸義さんを「小説」風に紹介した、木村さんは、その後、『合気道修得への道・佐川幸義先生に就いた二十年』という本を、合気ニュース社から、平成17年(2005)に出版してるんだという。この本を探して読んでみたい。

 とにもかくにも、合気道とは不思議な魅力のある武道である。合気道に出会えてよかった。稽古を続ける。