TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『大漢和辞典』の百年(池澤正晃)を読み進めている ~「大漢和」を図書館で見てみよう

 この本は私に迫ってくエネルギーがある。辞書とは学ぶとは学問とは人間とはを付きつけてくるのである。

 「大漢和辞典」を作った諸橋轍次とはいかほどの逸物であったのかと思う。

<東京師範学校の授業の中で、諸橋は学生を前にして「満州国は失敗であった」と言ったことがあった。その場にいた中田祝夫は、挙手をして、「先生、どういう点で満州国は失敗であったのですか」と質問した。中田の質問は、満州国は立派に発展しているし、東洋の安定に寄与しているはずなのに何故?」という思いからだったが、「しかし、諸橋博士は」ちょっと口ごもられるようであって、精しくは答えて下さらなかった。長い長い沈黙があって、やがて授業に移って行かれた。だが、今でも思う。あの昭和十年代の初めに、満州国を否定した諸橋先生のあの一語は、おそらく、一対一億の発言ではなかったか」(「鑚仰 諸橋轍次博士ー東京大塚での教室でのこと)」『漢文教室』第一三九号)。>

 脈絡もない引用であるが、諸橋轍次さんという方が逸物であったことの証左を引用した。あの時代に上のような発言をできないだろう。「満州国」は振り返って見れば日本の軍部の犯した誤りであるだろう。

 「大漢和辞典」は昭和十八年(1943年)9月10日に「巻一」を刊行した。
 私は「大漢和辞典」を見たことすらない。もっているのは角川書店の「緩和中辞典」のみである。