『戦争と平和』の最初の部分は退屈である。導入が長すぎてこの長い物語の要に入って行けない。そこで、第1巻(一冊目)の裏表紙の解説を読んだ。
<19世紀初頭、ナポレオンのロシア侵入という歴史的大事件に際して発揮されたロシア人の民族性を貴族社会と民衆のありさまっを余すところなく描きつくすことを通して謳いあげた一大叙事詩。1805年アウステリッツの海戦でフランス軍に打ち破られ、もどって平和な暮らしのなかにも、きたるべき危機の予感がただようロシア社交界の雰囲気を描き出すところから、物語の幕が上がる。>
こういう解説を先に読むのは邪道であろうが、これで時代背景と舞台の成り立ちが理解できる。時はいまから219年前のロシアである。日本では江戸時代末期である。江戸時代は200年以上続いた。1805年のロシアはついこの間のことだ。そのときから現在のプーチンのロシアに至るあいだに70年間のソビエト連邦時代が横たわっているのである。帝政ロシアは文化的には「良き時代」だったのだろうか?
ここでさらに第4巻の末尾にある訳者工藤精一郎さんの解説を先に読んでみた。
<この作品(「戦争と平和」)の大きな魅力は、ロストフ伯爵家とボウルコンスキイ侯爵家という両貴族の家庭の歴史と、貴族社会なお生活のあらゆる面を詳細に描いたことであるが、
続く
最後に今日の気になる本を書いておく。
(1)『プーチンの過信、誤算と勝算ーロシアのウクライナ侵略』(松島芳彦、早稲田新書、2,022年8月)
(2)『任侠 愚狂に死す―闇社会から光の社旗へ』(新垣玄龍、さくら舎、1650円)
<ヤクザ組長から僧侶整体師へ、任侠の彷徨!>というものらしい。
(3)『うつ病になってマンガが描けなくなりました 退院編」(相原コージ、双葉社、1980円)