ジョージ・オーエルの『1984年』(George Orwell; NINETEEN EIGHTY-FOUR, 1984)を読み始めた。これが書かれたのは1949年だから未来小説であった。既に1984年から35年を経過した2019年に私は読んでいる。翻訳者は新庄哲夫さんという方で、早川書房刊行の世界SF全集10にオルダス・ハックスリー「すばらしい新世界」と一緒に収められている。この小説はスターリンのソヴィエトに触発された反ユートピアの否定的な権力世界を描いたものだという。あらゆる人間性の収奪の上に成立する不毛の世界―人間を人間たらしめない権力集中への警告であるという。オーエルの描いた未来社会1984年も既に遠い過去となった。1984年の5年後の1989年にはベルリンの壁が崩壊し、その2年後の1991年にはソビエト連邦も解体された。ともあれ、現実に私の生きた1984年とオーエルの描いた1984年を対比しながらこの小説を読んでみたい。