TomyDaddyのブログ

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私の「医人」たちの肖像―(108)Jane Goodallさんと鼎談「チンパンジーに学ぶ―自然・共存・家族」~1992年12月11日(金)

(108) Jane Goodallさんと鼎談「チンパンジーに学ぶ―自然・共存・家族」~1992年12月11日(金)

 

   1992年12月11日(金)。午後17~21時まで、ジェーン・グドール (Jane Goodall)博士(ゴンべ野生生物学研究所)の来日の機会を捉えて、小林 登さん(国立小児病院院長・東大名誉教授)と鎮目和夫さん(成長科学協会理事長・東京女子医大名誉教授)のお二人と、「親と子の絆の原点を語る」というテーマで鼎談をお願いした。収録場所は、その当時には、文京区・本郷の東大キャンパスの隣に在った料亭「百万石」だった。
 「ジェーン・グドール博士を迎えて:チンパンジーに学ぶ―自然・共存・家族」というタイトルで、医学界新聞第・2055号(1993年8月9日付)に上記の鼎談を掲載した。
■今、子育てが問われている■
●1992年12月11日(金):
 鼎談「親と子の絆の原点を語る」の掲載時に、私が執筆したリードの文章を再掲したい。
 「今、子育てが問われている。未曾有の長寿社会の一方で、少産化と核家族化が進むなか、子育ての不安におののく若い父母がすくなくないという。遺伝子DNAまで遡れば、チンパンジーはわれわれ人間とたった1%くらいの相違しかもっていない。生理機能も頭脳の構造やコミュニケーションのとり方も、人間と極めて似ている。そして、子どもは母親を中心とした家族の中で育てられ、社会のルールや生きる知恵を身に着ける。『チンパンジーには人間と同じように様々な感情表現・個性がある』と、グドール博士は強調する。われわれ人間は、チンパンジーの子育てに何を学べるだろうか?」
 現在(2019年)、子育て中の親による子どもへの虐待事件が頻発している。まさに、人間はチンパンジーに子育てを学んだほうがよいようだ。
■少女がそのまま大人になったようなグドールさん■
 グドールさんは、1934年ロンドン生まれ。アフリカ・タンザニアのゴンベ自然公園で野生のチンパンジーの生態研究に(1993年当時)30余年にわたり従事していた。1967年よりゴンベ野生生物研究所学術部長。
 1982年に日本生命財団の国際シンポジウム「子どもの発育と家と社会」における特別講演のため初来日した。「チンパンジーの行動研究」の業績で、第6回京都賞を、1990年に受賞している。分子生物学シドニー・ブレナーさんと同時受賞であるのが興味深い。翌年、1991年12月には、日本医師会主催のシンポジウム「長寿社会の支持基盤の形成」の講演者として来日、そして今回(1992年12月)は成長科学協会のシンポジウム「子どもの心の発達研研究会」の講師として来日した。多分、親日家のグドールさんは、これ以降も日本に来られている(テレビ出演を見たことがある)。
チンパンジーに学ぶ―自然・共存・家族■
 インタビューの冒頭にグドールさんはこう述べる。
 「私は幼いころから動物が大好きでした。8歳の時にアフリカに行こうと心に決めました。その時は、こんな子供はアフリカのジャングルに行けないといわれましたが、私の母は『あなたがもし一生懸命にやれば、いつか夢は実現しますよ』と言ってくれました。私はこの夢をずっと持ち続けたのです。」
 冒頭のこの言葉には、子育ての原点が窺える。収録したインタビューは、以下の五本柱でまとめて紹介した。
(1)アフリカは憧れの地だった―夢を追い続ける動物好きの女の子、
(2)チンパンジーに学ぶ子育て―母の死で、兄・姉、叔母が子育てを代行する、
(3)チンパンジーの家族関係の特徴は?―近親相姦はタブー、
(4)チンパンジーにおける言葉と文化、
(5)アフリカの自然を護ることから―大陸全体が自然絶滅の危機にある。
 近年、地球温暖化によりチンパンジーが棲む森が少なくなっているとも聞く。ゴンベ国立公園はいまどうなっているだろうか。グドールさんのことを想い起こしながらこれを書いた。
(2019.6.11)

(私の「医人」たちの肖像―〔108〕Jane Goodallさんと鼎談「チンパンジーに学ぶ―自然・共存・家族」~1992年12月11日