毎週、朝日歌壇を読んでいると、常連の当選者の歌が目についてくる。やはり上手いんだろう。それと、戦争の歌が世相を切り取る形で入選している。
<塹壕(ざんごう)に洗濯ものを干してある兵士の靴下ウクライナ軍(横浜市 徳元てつお)>⇒佐佐木幸綱選:
こういう歌って何なのだろう。もちろん、ロシアのウクライナ侵攻は許しがたいことだ。この歌の風景を、作者はテレビの映像でみたのだろうか?
<人間ものせたらいいのかもしれないきけん有毒生物図かん(奈良市 山添聡介)>⇒高野公彦、永田和宏、馬場あき子共選:
奈良市の山添聡介君は、たぶん、まだ小学生のはずだ。使ったりえている漢字も限られている。お母さんも、お姉さんの山添葵さんも、時々入選しているかただ。小学生に、こんな歌を詠ませる現実は何なんだろうと思う。聡介君、三人の選者から選ばれている。すごいな。
<半世紀岩波ホールを支えたる座席の一人でありよわれも(松戸市 遠山絢子)>⇒永田和宏選:
遠山さんの歌は私の経験でもある。こんな素敵な歌が詠めるんだ。
<先輩に同行お得意先回り犬の名前もちゃんとメモする(富山市 松田梨子)>⇒永田和宏、馬場あき子共選:
松田さんは、今年の春から、社会人となって働いている。なんの仕事に就いたんだろう。
歌を作るのはほんとうに難しいね。でも、素直に自分のみたもの、感じたことを、57577におさめればいいんだろうが、、、。出来ないんだな。
<インパールで死んだ息子の年金を私の学資の足しにした祖母(東京都 松本秀男)>⇒永田和宏、馬場あき子共選:
作者の松本さんの、父はインパールで亡くなっている、ということなんだろう。
次に、俳壇を読んでみる。
<自分とは何か分からず老いの秋(横浜市 橋本直樹)>⇒高山れおな選:
<ひぐらしのいっせいにかなしみの鈴(富士宮市 高橋政光)>⇒長谷川櫂選
上の句は、良くわかるね。ひぐらしの鳴くのは淋しい。次の句もいいね。
<どことなく礼儀正しき水羊羹(本庄市 篠原伸允)>⇒長谷川櫂選: