TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

アートシアターで「正義の行方」を観た日に朝日歌壇と俳壇を読む

 午後からアートシアターでドキュメンタリー映画「正義の行方」を観てきた。重い内容の映画であった。死刑が執行された事件、その再検証を試みる渾身のドキュメンタリー映画であった。
<1992年、福岡県飯塚市で二人の女児が殺害された「飯塚事件」で逮捕された犯人は2006年に死刑が確定、再審請求準備中の2008年に死刑が執行された。この事件を警察官、弁護士、新聞記者への取材で再構築。そのれぞれの「真実」と「正義」がぶつかりあう問題作。>

 映画の展開に必死について行って観てきた。当然ながら、犯人(とされ)て死刑になった人の「冤罪」を主張する生の声は聞こえてこない。残された妻、弁護士等が再審請求を死刑執行のあとで行ったが棄却された。二度目の再審請求が行われているらしい。余りにすごいドキュメンタリーなので胸が苦しくなった。1992年といえば、毎日、仕事に忙殺されており新聞もろくに読んでいなかった。事件の記憶もない。

 この事件で、「MCT118」というDNA鑑定が行われたと知った。

■MCT118■
 DNA鑑定法のうち、塩基配列部分を増幅させ配列の繰り返しパターンを分析することで個人特定を行う手法。MCT118型鑑定は犯罪事件の犯人特定の手法としても採用されている。ただし古い資料を用いたDNA鑑定では十分な証拠能力が疑問視される側面もあるとされ冤罪を招いた例もある。(との説明を読んで記録した。)

 恒例の朝日歌壇を読む。

  <「メンソレはなんでも効くのよ」と言う祖母の笑顔がなんでも癒してくれた(東京都 岩本 朗)>⇒永田和宏撰;

  <麦秋のかおりとひかりを浴びながら畔を歩けばすでに旅人(福岡県 末松博明)>⇒馬場あき子撰;

  <玉ねぎを切ります野外活動のカレーの練習をする日曜日(奈良市 山添聡介)>⇒佐佐木幸綱、高野公彦共撰;
 奈良の山添君がまた入選した。日常を上手に57577に入れている。二人の選者が選んでいる。実は面白くもなんともない歌なんだが小学生歌人には脱帽。

  <国民のための減税などでなく政権維持のための減税(観音寺市 篠原俊則)>⇒高野公彦撰;
 篠原さんは個人詠がすごくいいのだが、時折、世相歌をつくる。面白くもなんともない。それを選ぶ撰者はなんなんだろう。

 俳壇を読む。

<おほかたを捨てて涼しき卒寿かな(八王子市 長尾 博)>⇒大串章撰;
 「断捨離も順調に進み涼やかに毎日を過ごす卒寿」と撰者がコメントしている。
 断捨離はこういう気分にホウントウになるのか?私は、五木寛之さんが推奨するように、ゴミに囲まれて最後まで生きようと思う。断捨離、終活ってのは違うと思う。

 最後に俳壇と歌壇の間に載っていた「俳句時評」を読んだ。「瀬戸内寂聴の遺句集」というのを俳人の岸本尚毅さんが書いていた。
 <剃るりたての頭(つむり)にとんぼ来てとまる>

 遺句集『定命(じょうみょう』(小学館)が出たんだと。第一句集『ひとり』が2017年年に出ている。
 <生ぜしも死するもひとり柚子湯かな>
 <年々に発心の秋身に重く>
 「寂聴というう作家は、最後ま重いものを抱え続けた。その晩年の寂聴が「無二の友」と言った文芸は、最短詩型の俳句だった。」と書いてあった。

 寂聴さんは、言葉という乗り物で最期まで楽しんで生きた。文学はやはり生きる乗物なんだと知った。