TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

松浦寿輝さん 詩の集大成 「松浦寿輝全詩集」(中央公論新社)を出した ~詩で食える人がいたんだ

「彫刻のように 言葉が立つ」という大見出し、「やりつくした 悲哀と生の充実 半世紀の信号の記録」という副見出しのもと、標記の記事が朝日新聞夕刊(2024年7月3日)に載っていた。
 詩人というと、中原中也石川啄木のように不幸で早死にしないといけないと思っていたのは、私ばかりか? やはり詩人の荒川洋治さんが「文学は実学である」と言っていたのを想い出して、諾るかなと最近は思っている。土木工学が建物や橋をつくるとすれば、実学としての文学は「こころに橋を架ける」のである。「松浦寿輝さん 詩の集大成」を紹介した件の記事には、腕組みした偉丈夫に見えるご本人上半身写真が載っていた。立派な体格をしている。

 <詩人・作家の松浦寿輝さんが、詩作の集大成となる「松浦寿輝全詩集」(中央区論新社)を出した。既刊詩集7冊に加え、未刊詩集も2冊収録する。20代の頃から47年にわたって書いてきた全240編が入った、1千ページの大著だ。>

 松浦さんは私より7歳若い。1954年3月18日生まれの70歳だ。東京の開成中学高校から東大教養学部から大学院仏文科まで出た。もと東大教授でいまは名誉教授だ。まさに「実学としての文学」の専門家と知った。

 <「僕の詩は寂しさ、悲哀のトーンが強い詩だと思う」。けれど、それは、生の否定ではない。むしろ、生きることと密接に結びついている。「人はこの世で生を享けてはかない時間を生きて死んでいく。暗さや悲しみも含めて、生きているという感情の充実感につながっていくんだと思う。

 すべてが闇に溶けこんでしまはうとする直前、口のなかにどっと溢れ出してくる血の味を噛みしめながら、あゝこれでいゝ、あたしはもう寒くないと狐は思ふ(「丘の橋」から)>

 <届くかどうかすらわからないけれど、言葉によって空気を震わせる。全詩集は、半世紀にわたって送り続けてきた信号の記録だ。>

(上記は田中瞳子さんの記事からまとめた。)

 松浦さんは、詩人だけでなく『花腐し』(2000年)で芥川賞も受賞している。他に、『半島』(2004年)もある。こういう人がいるんだね。是非読んでみたい。言葉は魂の表出なんだと知った。