TomyDaddyのブログ

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私の「医人」たちの肖像― (37)石井 毅さんとインタビュー「プリオンとアルツハイマー病」 ~1985年2月21日(木)

(37)石井 毅さんとインタビュー「プリオンアルツハイマー病」~1985年2月21日(木)

 

   東京都立精神医学研究所(当時)の石井 毅さん(精神医学)に、「プリオンアルツハイマー病」のテーマでインタビューした。この折には、他部署に異動したばかりの先輩記者SH君と一緒だった。その頃、プリオンが発見されたばかりだった。プリオンの集積とアルツハイマー病患者の脳におけるアミロイドの沈着が相似ていることから、プリオン感染が老年期の痴呆の原因に関係しているのではないかといわれていた。その辺のことを石井さんに解説いただいた。
■新米記者のインタビュー事始め■
●1985年2月21日(木):

 「何でも聞いてください」と石井先生からといわれてSH君の助けでなんとかインタビューをこなした。まさに、「新米記者のインタビュー事始め」であった。口下手の私は、上手く引き出し役になれなかったことを思い出す。
 「アルツハイマー病の原因を探る(石井 毅氏に聞く)」というタイトルの記事として、インタビュー内容を、医学界新聞・第1646号(1985年4月22日付)に掲載した。
プリオン(prion)とは何か?■
 プリオンはタンパク質から成る感染因子である。プリオンタンパク質のミスフォールド(誤って折りたたまれた)型は、ウシの海綿状脳症(BSE狂牛病)やヒトのクロイツフェルト=ヤコブ病(CJD)他の種々の哺乳類に見られる多くの疾患に関与することがわかっている。
 米国のUCSF(カリフォルニア大学・サンフランシスコ校)のスタンリー・B・プルシナー(Stanley B. Prusiner)らが、仮説上の存在だった感染因子の精製に成功し、同因子の主成分が特定のたんぱく質であることを公表したのは、1982年のことだった。プルシナーは、この因子を「プリオン」と命名した。プリオンを構成する特定のタンパク質自体は、プリオンタンパク質(Prion Protein;PrP)の名前で呼ばれ、感染型(異常型)と非感染型(正常型)の両構造をとり得る物質として扱われる。異常型プリオンタンパク質は、正常型プリオンタンパク質の立体構造が変化して、水に溶けにくくなり、プロテインキナーゼ K というタンパク質分解酵素による消化を受けにくくなった変性タンパク質であるのだという。プリオンタンパク質については、分子生物学者・福岡伸一さんが書かれた『プリオン説はほんとうか?』(講談社ブルーバックス、2005年)を参考に記述した。
 プリオン研究の業績により、ノーベル生理学・医学賞を、プルシナーは、1997年に受賞した。私が石井さんにインタビューした1985年は、プルシナーによるプリオンの公表から三年後のことである。
(2019.2.15)


(私の「医人」たちの肖像―〔37〕石井 毅さんとインタビュー「プリオンアルツハイマー病」~1985年2月21日