TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

悩み多き老年時代?!

 「悩みのるつぼ」(朝日新聞 毎土曜日)2週連続で興味深い記事が載っていた。このコラム記事は、読者からの悩みの相談に、有識者が答える形式のものである。同様なかたちの記事は例えば読売新聞でもあるようである。作家の佐藤愛子さんがエッセイで紹介していた。愛子さんは『お悩み相談』の読者だが、回答者の立場に立って読んでいて、懇切丁寧な優しい回答に感心して、「私なら一刀両断で切り捨てるのに・・・」というようなスタンスで書いていた。

 さて、今回の「悩みのるつぼ」は何れも高齢者(60~70歳台)からの相談である。まず一つ目の相談者は60歳台主婦だ。
 「60代の主婦です。子供がおらず同年の夫と仲良く暮らしてきました。でも夫が4年前に退職してからほとんど家から出てくれないので困っています。夫は友人もほとんどおらず同窓会などには一切でません。・・・私と一緒な散歩、外食、コンサートと出かけますが一人では一切行きません。・・・・私は元来、一人が好きなので、主人が働いている時はリラックスできていました。・・・夫は家事も手伝ってくれ、優しい人だと思います。でも常に居られると気持ちが休まらないのです。・・・このまま我慢するしかないのでしょうか?」
 <亭主元気で留守がいい!> これは川柳だろうか? 誰が言ったのだろうか? 今回の相談は上記の川柳通りの悩みだ。全く贅沢な悩みである。退職した夫が病気になったり、あるいはいい気になって飲み歩くかギャンブルに狂ったりしたらどうすのか。とは言いながら悩みはつきものなので仕方ないか? 回答者は歌手で俳優の美輪明宏さんである。美輪さんの答えは。「理想の夫ではないですか」となっている。
 「ぜいたくな悩みです。もし自分が病気やけがをしたら、そばに居て欲しいはずで、それ以外は居て欲しくないというおとですか。なんてわがままなんでしょう。だったら初めから結婚しなければよかったのではないでしょうか。・・・・一緒にコンサートや散歩、外食にいってえくれるって・・・。理想的な夫じゃないですか。・・・・常識的に考えてすばらしい夫なのに、相手への感謝が全然感じられません。・・・・」 
 美輪さんの回答は、私が冒頭にかいたのと同じで極めて真っ当である。美輪さんは次のように結んでいる。「いっそ独身になられたらいいのではないでしょうか。もしくは別居です。そうしなければ、勤めあげて寄り添い続けてくれた夫の大切さに気づくことがないのかもしれませんね。」
 この回答は、男の立場としては真っ当な回答と思う。一方、まとも過ぎて若干の詰まらなさもある。この相談に同じ女性の上野千鶴子さんなら何と回答するだろうか。興味がある。

 さて、次の「悩みのるつぼ」の相談は、70歳台の男性からの相談である。
 「70代男性です。こどもたちはすでに独立し、4歳下の妻と二人暮らしです。そろって無芸無趣味の似たもの夫婦で、昼間は仲良くルーチンワークを分担、買い物や病院通いは、車の運転ができない妻のアッシーを務めています。しかし、よるになると態度は一変、主婦として家事はするが妻としての相手は卒業したと言って、古稀を迎えた頃から指一本触れさせません。・・・私の方はさすがにセックスは不可能でも、時には手ぐらい握り合ったり、ハグぐらいあったりしても良いのではないかと思いますが、妻は嫌なものは嫌だといってガンとうけつけません。・・・互いに社交下手なため、二人で過ごす時間が多いのも妻に嫌われる一因だと思います。オッサン化した妻を女に戻す方策はないものでしょうか。」
 この相談は、G爺たる私にもよくわかる。身につまされる相談でもある。さて、回答者に登場頂くのはお待ちかねの上野千鶴子さんである。上野さんの回答はこうだ。
 「70代、結婚歴およそ半世紀、でしょうか。病根が深そうですね。・・・・これまでに不倫したり風俗にはまったりした前科はありませんか?」チョット、上野さんの夫に対する反応は厳しいね。「妻があなたにとって女だったことはありますか?そもそもセックスがキモチよいものだと、妻が感じたことがあるでしょうか?・・・・合意なきセックスが性暴力だというのは、夫婦の間にも成り立ちます。・・・・半世紀間の夫婦のディスコミュニケーションを巻き戻すのは至難のワザ。この先もこの関係を続けたければ、半世紀分の反省に臍を噛みながら、妻の地雷を踏まないように、じっと辛抱するしかありませんね。・・・スキンシップを満たしたかったら、お孫さんかペットを抱きしめることですね。」
 おいおい、この回答はなんだ。途中、端折って引用したが、相談者の70代男性は恐らく、ひたすら40数年間のあいだ働いてきた真面目一筋の「お父さんの成れの果て」なんだと思う。浮気の一つ二つ、風俗通いの甲斐性とお金があったら、70過ぎてこんな「相談」をしないぞよ。上野さんの行動と主張は好きで、彼女の書いた本も幾つか読んでいるが、この回答は的外れだよ。こちらの相談にこそ美輪明宏さんの回答が欲しい。あるいは今は亡き車谷長吉さんならなんと応えたろうか?